閑話331・『わしゃわしゃわいしょ』

「キョウ、キョウ、キョウ」


「あはは、ちょ、止めてェ」


キョウにちょっかいをかけられるのは幸せだ、そう、ベッドの上に引きずり込まれて全身をワシャワシャ撫でられる。


って犬かっ。


「キョウ、ち、ちょっと待ってェ」


「よしよしよし」


「扱いが犬っぽい点についてっっ!」


「はぁ?」


「女の子の髪の毛をわしゃわしゃするものではありませんっ」


「……癖ッ毛の癖に」


「はあ?!」


「癖ッ毛の癖に……癖が二つもあってややこしいぜ」


「このっ」


「いたたたたたたた」


キョウをベッドに寝かしつけて乱暴に頭を撫でる、無論、キョウも私と同じ癖ッ毛なので指に毛が絡み付く。


それを乱暴にっ。


「は、はげるぜ」


「―――――」


「ごめん、ごめんだぜ」


「キョウは私に同じ事をしたんだからねェ、反省っ」


「お、おう」


「全く、なでなで」


「お前、俺に甘いよな」


「うっさいなぁ、もう」


自分自身に甘くない人なんていないよぉ、自分自身を甘やかせられない人は自ら死を選ぶ。


甘さは生きる上での必需品。


特にキョウはね。


「キョウには甘いよ、とびっきりね」


「ふん」


わしゃわしゃわしゃ―――私までキョウと同じように。


「犬じゃねーぜ」


「ご、ごめん」

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