閑話328・『才の違和感2』

四つん這いで散歩を『してみたい』と叫ぶとキョウが『ひぃ』と情けない声を上げた。


どのような存在に対しても腕組みで邪悪な笑みを浮かべるキョウが怯えている、でも気にしない。


荒縄を持たせて先端を持たす、首にまきまき、ぐえ。


「イテェぜ」


「いや、散歩される方だと思ったよォ」


「いや、メインは俺だ」


「………犬のように四つん這いになる方がメインとは言わないでしょう」


「俺からすれば飼い主が付属品だぜ」


「主の時点で違うと思うなァ」


ととととととととと、軽快に地面を駆ける、頬に当たる風が気持ち良い。


手首と足首を器用に曲げて全身の重みを緩和するように歩く、犬や猫のように所作に無駄が無く……あれ、二足より楽?


エルフライダーって四足が正しいの?乗られる側?


「ととととーーー」


「おーい」


「とととととととととーーーーーー」


「あのぅ」


「とととととととととととととーーーーー」


「き、キョウちゃん」


何故かちゃん付けして俺を呼ぶキョウ。


言わないけどややキモイぜ。


「どうしたんだぜ」


「いや、四足歩行が見事過ぎて若干ひいてるんだよォ」


「ほう」


「うん、二足に未練は無いのかなァ?」


「?」


「あまりに違和感無いからさ」


「………灰色狐の細胞のせい?」


「あの子は二足歩行です」


「レクルタン」


「二足です」


「………狐とウサギなのに」


「二足です」

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