閑話321・『好みぃいいいい』

体はすっかり女性だけど男の子の部分も存在しているわけで、キョウはそこを自覚してくれないと。


でもまあ、お嫁さんだろうがお婿さんだろうが良いんだけどね、けれど『男の子』である方が助かるかな、私はね。


そーゆーわけで確認中。


「お鬚もじゃもじゃの筋肉ムキムキの中年とグロリアや私並の美少女ならどっちが良い?」


「すまん、後半自尊心高すぎてムカついた」


「あはは、キョウはバカだなぁ」


「意味も無くバカにするの止めてくんね?!」


叱られる、しかしまさか悩むとは……細くて白くて長い腕、それを組みつつ真剣な顔で悩むキョウ、えっ、割かしショック。


え、グロリアがいたらぶっ殺されてると思うよォ。


「しかし難しい二択だぜ」


「難しい?!」


「…………愛情とか無しで、好みだろ?」


「そりゃそうだろうがァ」


キョウの胸元を掴んで上下に揺らす、死んだ瞳でキョウを振り回す、ええい、マジか。


ここまで歪んでるつーか変化してるとは思わなかったよォ、それでいて私と好み全然違うしィ。


過去に髭面の中年を好きになる要素あったっけ?レイ、キクタ、アク、部下子―――――――無いよねェ。


何処からその要素がっ、こわ。


「怖い、怖いよォ」


「うぐぐぐぐぐぐぐ」


「キョウ、乙女が白目とは何事か」


「っぁ、お前が首を絞めてるせいだぜ、ダブルピースしても良いんだぜ」


「なにそれ、キモイ」


「ですよねー」


何故が丁寧語のキョウ、暫く問い掛けるが中年寄りの意見しか出て来ない。


もうさ、グロリア止めて中年と旅しなよ。


「けほけほ」


「トントンしたげるよォ」


ばしばしばしっ。


「トントンじゃなくね?!」


「うふふふ」


ふふ。

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