閑話320・『太るか、胸か2』

ガキでも無いが大人でも無い、飲み屋で出会った若い冒険者の男。


鹿のようなすらりと伸びた足と鍛えられた肉体、顔は女のように可愛かった。


だかナンパに誘って色々楽しんで抱き締めて殺した、死体はそのまま今日の晩御飯になる。


キョウの晩御飯♪


「死んじゃった」


『そりゃねェ、全力で抱き締めるから』


「?」


『キョウの力で抱き締めたら死んじゃうよ』


「へえ、じゃあ俺は誰を抱き死めたらいいんだ」


『字面がわかるよ、その場合は死んじゃうから気にしないで』


「抱き締め抱き死ね」


『死んだよ、キョウが殺したんだ』


「――――――」


死体は餌だ、生体も餌だ、生体も死体も餌だけど生体は捕食中に必ず死体になる、だから結局は死体を食べる事になる。


生きたまま丸呑み出来たら良いのに、そうすれば生体をそのまま食える、ああ、でも腹の中で死体になるのかぁ。


この世界は死体を食う生き物で成り立っている。


人間もな。


「うまうまうま」


『仲間がいたからね、あまり遅いと訝しんで迎えに来るかも』


「また餌が増える」


『冒険者は一筋縄では行かないからね、これだけ食べて早々に立ち去ろうねェ』


「もぐもぐ、やだ」


『あら、我儘』


「沢山食べるもん」


『食べ過ぎて太ったらグロリアに嫌われるよォ』


「太らないから嫌われない」


『食べ過ぎたら胸に栄養がいってグロリアとの差がよりエグくなって嫌われるよォ』


「う」


『プププ♪』


「こ、これだけ、食べる、残すのは勿体ないから……後は我慢する」


『良い子』


「うぅ」

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