閑話317・『太るか、胸か』

まあ、このなりだからねェ、ホイホイと口説かれてホイホイと食べられるのは仕方ないと思うんだ。


シスターを抱ける機会なんてまず無いからね、でもシスターはシスターでも主食が人型の生き物だからさ。


抱いて殺されて抱かれて死ぬなら本望じゃないかな、キョウは衣服を整えながら獲物の様子を観察している。


死に掛けのソレは本気でキョウに恋をしていたようだけど、それと同じようにキョウは本気で食べたいと思っていた。


少年、17歳ぐらいかな?全身から血を垂れ流して瞳も既に濁りつつある、これから終わるのだ、終わった後は肉になり、餌になり、血肉になり、残りは糞尿になるのだ。


「死んじゃった」


『そりゃねェ、全力で抱き締めるから』


「?」


『キョウの力で抱き締めたら死んじゃうよ』


「へえ、じゃあ俺は誰を抱き死めたらいいんだ」


『字面がわかるよ、その場合は死んじゃうから気にしないで』


「抱き締め抱き死ね」


『死んだよ、キョウが殺したんだ』


「――――――」


死体は餌だ、生体も餌だ、生体も死体も餌だけど生体は捕食中に必ず死体になる、だから結局は死体を食べる事になる。


キョウはキョロキョロと周囲を見回しながら食事を始める、描写的には野生動物の捕食映像、繊維を引き千切る様はやや煩わしそう。


「うまうまうま」


『仲間がいたからね、あまり遅いと訝しんで迎えに来るかも』


「また餌が増える」


『冒険者は一筋縄では行かないからね、これだけ食べて早々に立ち去ろうねェ』


「もぐもぐ、やだ」


『あら、我儘』


「沢山食べるもん」


『食べ過ぎて太ったらグロリアに嫌われるよォ』


「太らないから嫌われない」


『食べ過ぎたら胸に栄養がいってグロリアとの差がよりエグくなって嫌われるよォ』


「う」


『プププ♪』


「こ、これだけ、食べる、残すのは勿体ないから……後は我慢する」


『良い子』


「うぅ」

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