閑話311・『無限食料』
気付けば周囲が死体だらけになっている時がある、だけどそこに恐れも怯えも無くそれを食べる。
気付かない内に無意識で殺してしまったのなら仕方が無い、それより食べ残しは駄目だ、俺の村は貧乏だったので『その発想』はあり得ないのだ。
しかし能力に溺れて人を殺すかァ、ダメな事なのだろうけど自然界の生き物も自分の力を頼りに獲物を捕獲して食べる、自身の力に自信があるから。
だとすれば俺も何一つ変わら無い、まあ、諸々の事はキョウやキクタやグロリアがもみ消してくれる、るんるん、食えるだけ食う、能力に酔ってようが酔って無かろうが。
食う。
汚い路地裏で。
「うまうまうまうま」
『食えー、食うのだー』
「うるせぇなオイ」
『いやいや、しかしエルフじゃないのに……意思ある生き物なら栄養になるけどねェ』
「ふーん」
キョウの言葉は抽象的で曖昧だけど何となく意味がわかる、ある程度の高位の生き物で無ければ栄養にはならない。
意思ある生き物、でも人型であればあるほどに――――エルフが最高だとして、ギリギリ並ぶのは高位の魔物か、美味しい。
だから新たな魔王も食いたい。
「もぐもぐもぐ」
『ネズミが様子を窺ってるよ』
「ネズミも食う」
『……まあ、好きにしなよォ』
「餌を食ってたら餌を食いに餌がやって来て餌になる」
『うん』
「ずっと食える」
『無限機関だ』
うん、もぐもぐ、透明な触手で突き刺してネズミも食べる、好き嫌いをしていたら大きくなれないぜ。
死体の幾つかをネズミが齧る、でも結局はそのネズミを捕食するので全て俺の栄養になる、誰が何を食べても俺の栄養になる。
もぐもぐもぐ。
「もぐもぐもぐ」
『落ち着いて食いなァ』
「うん、ゆっくり食うとネズミがどんどん来る」
『うん』
「無限以上に食える」
『それは勘違いだよォ』
あれ?
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