閑話305・『 癇癪感触2』
全てが煩わしく全てが気に食わない、故に暴れて建物を壊す。
全てが希薄で全てが脆い、だけど少しだけ固い、あれ、固い、硬い、手の甲が痛い。
でも暴れるのを止めないよ。
「しねしね」
「ごめんね、キョウ、痛かったね」
背後からキョウに羽交い締めにされる、筋肉が軋む、全てが嫌になって全てを壊したいのにどうして邪魔をするんだろうか。
お前は俺をどうしたいんだ、俺はお前も壊したい。
俺も壊したいのに。
「やだやだやだ」
「ごめんね、ごめんね」
「あーあー」
「そうだね、落ち着いた、良い子」
「うえええええええ、ひっく」
「はいはい、背中ぽんぽんしたげるよォ」
感情が無茶苦茶になる、どうしてこんな俺なんだろう、普通に人間として生きたいのに思えばものを壊してばかり。
違う、物をでは無く、者を壊して、人を。
一部を。
「ひっく」
「はい、うぷぷ」
「けぷ」
ゲップをして落ち着く、湖畔の街は湖畔の廃墟になったけど。
それでも壊れないキョウがいてくれる。
「うーう」
「どうしたのォ?」
「うーう」
「ふふ、意味ないか」
「うー」
「いいよ、好きなだけ言いない」
「うーーー」
ここには俺達だけしかいない、おかしな視線も無い。
結局一人。
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