閑話302・『癇癪感触』
キョウの癇癪が酷い時は土下座をして許しを請う、別に私が何かをしたわけでは無い。
しかしキョウがこうなるのもキョウが望んでの事では無い、二つの神の血がキョウを狂わしているだけ。
いや、片方か、あの人の血を最も濃く受け継いでいるのがキョウだ、精神的にも、性格的にも、瓜二つだ。
そう、私は知っている。
「しねしね」
「ごめんね、キョウ、痛かったね」
暴れた際に手の甲を打ち付けたのか内出血によって紫に変色している、それをそのままに暴れようとするものだから急いで止める。
なんの感情も無い瞳と震える唇、薬物の症状に良く似ているが違う、純粋な『精神的』な疾患でも無い、生き物としての当然の行動。
こんな生き物として誕生した。
「やだやだやだ」
「ごめんね、ごめんね」
「あーあー」
「そうだね、落ち着いた、良い子」
「うえええええええ、ひっく」
「はいはい、背中ぽんぽんしたげるよォ」
流石にグロリアの前ではここまで壊れた姿を見せないだろう、一部の前でも珍しいかな?私の前では当たり前のように壊れる。
そして私は当たり前のように受け入れる、同じ神の子、同じキョウ、ああ、愛している人、幸せになって欲しい人、どんなものでもこの人の為になら。
うん。
「ひっく」
「はい、うぷぷ」
「けぷ」
ゲップをして落ち着くキョウ、周囲の建物は崩壊している………まあ、湖畔の街の事だ、一夜で元通り。
キョウの心と同じ。
「うーう」
「どうしたのォ?」
「うーう」
「ふふ、意味ないか」
「うー」
「いいよ、好きなだけ言いない」
「うーーー」
ここには私達だけしかいない、おかしな視線も無い。
大丈夫。
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