閑話301・『お臍は鍵穴、体は宝箱、中身は赤ちゃん』

キョウが調教をしているのは私だけ、本質的には自分を変化させるためのやりとり。


そこに意味は無く、自分を虐めて自分を苛めて自分をいじめて、自分が大好きで大嫌いで。


本当なら過去のキョウを殺したいんだね、でもあいつは私達の母親みたいなもの、キョウは、どう思ってる?


出会ったら、封印を解いたら、キョウを奪われるような不安が常にある、それが消えない、それが怖い、あいつはレイと同じようにキョウを愛してる。


同じキョウなのに、私と同じ。


愛される為のキョウ。


「どうしたんだぜ」


「オヘソぐりぐり止めてェ」


「やめないぜ」


完全に絡み合っている、絡み合いつつキョウがオヘソを突く、空前のオヘソブームに流石に疲れる、そこは宝箱の鍵穴では無い。


私の宝物は何時も目の前にいる。


「ぐりぐりぐり」


「開封されても中身のお宝はもう出てるからねェ」


「何処に?」


「目の前に」


「俺かぁ」


「その通りですお嬢様」


「……ぐりぐりぐり」


「ひゃん」


道化めいた芝居もキョウの前では意味が無い、ひゃんひゃん喘ぐだけの畜生に成り下がる。


しかしキョウは満足していない、グロリアの教えを絶対的に信じる盲目の信者だ、そもそも浮気防止の為にそんな嘘を教えたんじゃないかな。


頭がおかしくて相手は逃げるからねェ。


「♪」


「ひゃん、いたたた」


「ぐりぐりぐり」


「ど、どりる」


「削岩機です」


「わ、私のオヘソは硬く無いよォ」


「知りません」


でも何処か幸せそうなキョウ、グロリアの言いつけを守れて嬉しいのだろう。


可愛そうな子。

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