閑話299・『あかさんいらぬ』

「おちんちんおちんちん♪」


「――――――――――――」


キョウが笑ってくれるなら何でも良い、芸をした後に床に転がされてお腹をわしわしと撫でられる。


生き物にする行動では無く、玩具に対するような――――羞恥の時間は終わる、キョウはそのままお腹に耳を当てて寝転ぶ。


ベッドに移動したいのだがキョウが幸せそうなのでそのままにする、キョウが幸せなら何でも良い、あの恥ずかしいポーズも出来る。


口に出すのも恥ずかしい芸。


「ここで赤ちゃん作るんだぞォ」


「ど、どうしたの、突然」


「ん、お腹に耳当ててるの、赤ちゃんいねぇ」


「いないよ」


「赤ちゃんいないかなぁ」


「お、オヘソをグリグリしても出て来ないよォ」


「ああ、ここ、鍵じゃないんだ」


「どーゆー意味?」


「宝箱は母体で、オヘソは鍵穴なの、宝物が赤ちゃん」


「あー」


グロリアの教育を疑う様な――――駄目でしょう、あまりに自分好みにメルヘンチックに調教したら、そもそも素でメルヘンチックでほわほわしてるのに。


あまり世間ズレさせないで欲しい、生き辛くなる。


辛い想いはさせたくない。


「そ、それは無いんじゃないかなァ」


「どうして無いの」


「ええぇ」


「どうして無いの」


明確な質問では無いのが子供と同じ、まあ、中身は子供なのだから仕方が無い、メルヘンチックな言葉だけど意味としては繋がっている。


でもその鍵穴は古いものだし、そもそも天上に繋がっている。


私達の臍の尾の先はねェ。


あの人がいる。


「だったらキョウと私で赤ちゃん作って確認しようよ」


「やー」


「うっ、傷付く」


「キョウは俺だけのキョウだから赤ちゃんにあげない」


私こそあげない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る