閑話298・『おふぃんふぃん2』

澱みの無い笑顔で澱んだ単語を発するとキョウは面白い程に赤面した。


「キョウ、ちんちん」


お手に飽きたのでそう呟いただけだ、他意は無く純粋に出来るかどうかの確認。


故に停止はあり得ない、やってみないとわからないはず、なのにやらずに停止とは?


ほら、ちんちん。


「ん?どうしたァ」


「き、キョウ」


「ちんちんしろ、おらぁ」


バカにされていると感じた、しかしその理由はわからない、大好きなキョウなのに髪を掴んで乱暴する、大好きなはずなのに体は大嫌いな行動をする。


胸の内にある感情と体を動かす衝動に何時だって矛盾を感じる。


俺はどうしてこんな生き物なのだろう。


「い、痛いよ」


「あ、ご、ごめん」


泣き顔のキョウを見ると先程の記憶が『砂嵐』に飲み込まれて消える、ざーざーざー、ひどいことをした?


ざんげのねんだけ、せんごがきえる。


なにしてた。


「い、痛かったか?」


「髪の毛抜けちゃう」


「そう、だぜ、でも」


「そうだね、ちゃんと芸が出来無い私が悪いよねェ」


泣きそうな顔になるキョウ、指の隙間に美しい金糸と銀糸の髪、癖ッ毛だけど艶やかで―――何処で拾った?


なんでおれのゆびのあいまに、あああああああああああああああああ、そうそう。


おちんちん。


「おちんちん出来無いの?」


「え、あ」


「犬でも出来るのに、俺の一番大切なキョウはそんな事も出来無いの?」


「あ」


「犬以下だっけ」


そんなもんだっけ。


おまえ。


「でき、ます」


そうか、そうじゃないと。

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