閑話289・『おててをつないでおぺぺを』
「ん」
「ふえ」
差し出された掌に首を傾げる、毛細血管が透けて見える程に美しい肌、白磁の肌とは正にこの事でそれ以外の言葉が浮かばない、白魚のような指は滑らかで瑞々しい、細くて長い指は見る者を魅了する。
しかし無造作に差し出されたソレに俺は首を傾げて対応する事しか出来無い、何故ならその動作があまりに無造作であまりに突然だったからだ、シーツが波打つのも気にせずに小さく縮こまる。
キョウは何も言わずにジーッと見ている。
「な、何だぜ」
「ん」
「だから何だぜ」
「お手です」
「は?」
「キョウがあまりに我儘なので躾ける事にしたよォ」
ニコニコ、天使のような笑みで悪魔のような事を口にする、何処までも笑顔が似合う少女なのに何処までも腹黒い、故に視線をずらして思考する。
こんなピンチは何度もあった、それを何だかんだで自分の可愛さで切り抜けて来た、可愛いって生きる為に大事なんだよなァ、うふふふふふふふふ。
死にてぇ。
「え、えへぇ」
「あら、可愛い」
「えへへ」
「お手」
「う」
「可愛くてもお手が出来ないとねェ」
ささくれ一つ無い指先、白いと言うよりは透き通っている、シスターのみが持つ人外の魔性の体、しかしキョウやグロリアのソレは特別美しく感じる。
そしてあの二人は特別腹黒く感じる。
「お手」
「お、おれは人間だぜ」
「お手」
「――――――――――」
「お手が出来るキョウ、可愛いと思うよォ」
だったらお手の出来無い俺は可愛く無いのかと問い掛けたい、差し出された掌を穴が開くまで見詰めてやる、死ねー、死ねー、死ねー。
顔を上げると無表情のキョウ。
「うぅ、これでいいのかよ」
「うん、可愛い」
何時だって可愛いぜ?ぷんぷん。
わんわん。
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