第465話・『へんごころん』
恋心だと自覚するのは――思考が乱れる、勇魔との思い出、あれはあらゆるものを超越している、かつての魔王の部下たちを野放しにしてるのも興味が無いからだ。
使途にすら興味が無い、しかしそこは勇魔の細胞が幾つか紛れているのか『少年』に対して純粋な想いを向ける者もいれば屈折した感情を向ける者も多い、嫉妬、憎悪、愛憎。
それは結局の話だ、あの『少年』を無視出来ない事実だけ、そう、勇魔の細胞を持つ者は誰もが少年を求める、絶対に求める、必ず求める、そう、自分が壊れる程に求める、愛であろうと憎しみであろうと。
少年は何も知らずに辺境の地で育っている…………自然と自分も映像を追うようになった、勇魔の興味があるものに興味がある、結局はそれだけだ、少年に興味があるわけでは無い、何処にでもいそうな少年。
何処にも興味を示さない勇魔が唯一興味を示す少年、どうしてこの子だけ特別なのだろうか、聞く事は出来無い、城の掃除を終えて何時も思う、どうしたら勇魔は自分に興味を持ってくれるのだろうか。
そしてどうしてそんな事を自分は思うのだろうか………使途に相談したら鼻で笑われた、失礼な奴だ、勇魔が少年を見詰める様は恋する少女のようであり保護者のようでありわけがわからない、少年に何を見ている。
どうしてその視線をこちらに向けてくれない、どうしてそんな事を考えてしまう、どうしてどうしてどうして、ああ、どうしてなのかわからない、しかし勇魔は自分を助けてくれた、自分も勇魔を助けたい。
その少年を愛する事は苦しい事だろう?何となく、その想いがわかる、長い時間を――――その少年の為に費やしたのだろう?だったら、それはもう駄目だ、時間を得た愛情は既に愛情では無く執着になる。
それを終わらせてやる。
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