閑話288・『生ニンジンエターナル2』

愛する子に膝枕をしながら観察する、最近はどうも『具合』が良く無いデス。


狐の『具合』が良く無くて、ウサギは怒っているのデス。


ぷんぷんデス。


「んー」


「膝枕デス」


「ぷにぷに」


「それは良い事デス、ん?良い事デス?」


「さ、さあ」


何故か怯えた様子の娘に首を傾げる、開きっぱなしの窓から見えるのは怠惰な色合いの雲と大量の雨。


狐の髪の色と同じデス、他意は無いデス。


全く無いデス。


「外出たいんだけど」


「外は雨デス」


「それでも出掛けたいんだけど」


「女の子が冷たい雨に濡れるのは駄目デス、赤ちゃん産めなくなるデスよ」


「孫か」


「いらないですけどデス」


「え」


孫はいらない、娘がここにいれば良いデス、娘が膝の上にいれば良いデス。


何もおかしな事では無いデス。


「いらないんだったら出掛けても良くね?」


「駄目デス、どうせ灰色狐を召喚するデス」


「う」


「狐よりウサギにしときなさいデス」


「いや、あの、それは」


「狐は危ない菌を持ってるから………ね」


「うぅ」


ウサギは狐より安全デス、ウサギは狐より優れているデス。


赤ちゃんは狐の子では無くウサギの子ですよ?


「わ、わかった」


「じゃあ、ニンジン食べるデス、生で」


「え」


「ぽりぽりぽり、美味しいデス」


「ぽりぽりぽり、う、うめぇ」


何故か汗を大量に流しながらニンジンを食べる赤ちゃん。


口で砕いて口移しの方が良いデスか?

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