第458話・『にゃかみ』

俺を襲う一瞬だけ水面に出現する、電光を使えない以上この時が唯一ダメージを与えられる機会、しかしいちいち登場が派手で水面が揺れ飛沫が上がる。


バランスを崩した瞬間に必殺の一撃が飛んで来る、しかし攻撃パターンとしては両腕のハサミと尾でしか攻撃して来ない、故に何度か対処している内に『手の内』を理解する。


だけどその一瞬を狙って攻撃してもハサミで軽々と弾かれる、関節を狙っているのだがそう易々と許してはくれない、見掛け以上に俊敏だがそれ以上に空間把握能力に長けている。


麒麟の動きは音速を持って敵を追撃する、しかし相手はその全てを弾く、水面が安定していればさらに速度が出せるのだが相手もそれをわかっているのか攻撃の合間に水面を揺らす。


透明度の高い地底湖、水に少しでも濁りがあれば相手の死角を奪える材料になるのにっ。


「ハァハァハァ、つよっ」


『良い作品だねェ、キョウも魔物を創造したいなら見習いなっ』


「う、うん、でも生み出すなら人型がいい」


『いきなり高位っ?!』


「女がいい」


『もう沢山いるよっ?!女の魔物っ』


「ロリがいい」


『定員オーバーっ!?』


「ママがいい」


『いるって!創造主の一人とウサギがいるよォ』


「そうか」


しかしどの角度で打ち込んでも見事に対応する、関節ー、弾かれる瞬間に腕が麻痺する、その刹那に何度も執拗に尾で追撃される、再生しても痛みはある、それが恐怖となって攻撃を遅らせる。


観察する、頭胸部前方側面に二から五対の単眼の列……側眼を持つ、無機質なソレが俺の行動を見逃さずに完全に捉えている、また頭胸部中央には上を向いて露出する接近した一対の単眼がある。


何処から攻撃しても対応出来るのはこのせいだ、このおめめのせいだ、んふふ。


「しゅてき」


『はあー』


「きゃわわ」


『……何処が可愛いのか全然わかんないよ』


「きゃわわわわああああああああああああああああ」


『……』


「にゃかみみたい」


『中身が見たい?』


「きゃわいい、にゃかみみたい。にゃかみにはいりたい」


『中身に入りたい?』


「うん♪」


はいりたい。

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