第448話・『ロリの口説き方はこんちくしょう』

泥仕合は熾烈を極め、一部の力が回復した瞬間に麒麟の力を全開放して電光で焼き放つ、幾何学的な紋様を刻む魔力が蒸発するように消えていく、麒麟の姿になりながら息を整える。


鎧はそれでも形を失わずに鎧のままで、グロリアへのお土産としては十分だぜ、ぜーぜーぜー、馬乗りになってタコ殴りし続けて一時間弱、一部の力を取り戻せて良かった、俺の愛しい餌やり係も収納出来た。


「つ、つかれた」


『運動不足が解消出来て良かったじゃない』


「最近は食っちゃ寝してたからな、俺の可愛い餌やり係に手を出したら消すぞ」


『はいはい、キクタとキョロを体内で護衛につけて、お姫様かっ、あいつっ!』


「キョウが殺そうとするからだろ」


『ブッコロス』


「ブッコロス」


取り敢えず合わせて伸びをする、溶けた雪が氷になる、寒いなやっぱり……そこに映り込んだ自分の姿を見る、俺の母親の一人である、肝無巽光(かんむそうこう)の眷属であるが故に一番馴染む。


レズでゆりりんで近親でやって生まれたのが俺だからな、神様って何なんだろう、姉と妹で……うーん、あかーん、しかし流石は神の眷属、美しい、人外の美しさが氷の表面に映し出されている。


ローズクォーツ、美容の秘薬とも呼ばれている女性の美しさや一途な愛を彷彿とさせる鉱石、紅水晶とも呼ばれていて美しい色合いで人々を楽しませる、そんな桃色の薔薇と同じ色合いの瞳、額にも二つの瞳が存在している、四つの瞳だ。


「こいつで戦うか、強いし、可愛いし、俺だし」


『いいけどォ、あんまり麒麟使うと調子乗っちゃうよォ?』


「まあ、いいじゃん、少しぐらい調子乗らせても」


『少しぐらい調子乗ったら一部全部消すぐらい危険なんだけどねェ、キョウをお嫁さんにしたい畜生だから』


「そんな畜生に畜生っ」


『なにそれつまんない』


「へへ」


少し照れるぜ、鮮やかで艶やかな赤みを帯びた黄色の髪の毛先が震えている様子が俺を満足させる、山吹色(やまぶきいろ)のソレは前髪を水平に一直線に切り落としている、肩まで伸ばした髪も同様に一直線に切り落としていて清潔で整然とした印象を見るモノに与える。


ふふふふふふふ、そりゃあ、神様にお仕えするんだから髪で遊べないよなぁ、綺麗だなあ、んふふ、見た目は7~8歳ぐらいだろうか?俺の一部の中ではかなり幼い容姿だ、腰ぐらいまでしか背丈も無いし妙にそそられる、生真面目さがその表情からわかるぐらいだ。


余裕の無い幼女とでも言えば良いのか?神の造形物に相応しく全てが整っていて黄金律によって構成されている、美しい。


「麒麟になってる状態で麒麟って出せる?」


『うーん、出せるけど疲れるよォ』


「ダブル麒麟でさっさと始末したいのに」


『なにその怖いの』


クルクルと機嫌良く回る、子の体は軽くて柔らかく手て丈夫だ、頭には頭巾(ときん)と呼ばれる多角形の小さな帽子のような特殊な物を付けている……そして右手には錫杖(しゃくじょう)と呼ばれる金属製の杖を携えている、知識を読み込みながら感心する、やっぱりこいつは東を統べる神様の眷属なんだなあ、俺達の衣服とまったく違う。


袈裟と、篠懸(すずかけ)と呼ばれる麻の法衣を身に纏った俺、腰の帯にぶら下げたほら貝を加工した楽器が何だか気になる、ふふ。


「この姿なら相手が誰だろうと大丈夫だろう」


『勇魔、レイも純血の神の子だからねェ、その眷属が麒麟と互角でもおかしくないよ』


「?俺の麒麟の方が強くて可愛いだろ」


『て、天然、それ、麒麟の前で言わないでよねェ』


「なんで?」


なんで?

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