閑話273・ 『嫁になるか旦那になるか2』
「段々不安になって来た」
「自分で蒔いた種でしょ?自分で解決なさい」
「えぇええ」
「な、情けない声を出さないの」
大事な話があると言ったから何事かと思えば一部に求婚されているとか……今更、髪を指先で弄りながら溜息を吐き出す………自分で蒔いた種が成長して満開状態なのだ、自分でどうにかしなさい。
しかし灰色狐だけでは無くあの沈着冷静な祟木までぶっ壊れるとは些か驚いたけどねェ、しかもお嫁さんになりたいわけでは無く夫っ、キョウの性別の伝達が上手に出来ていないのかな、それとも上手に出来過ぎている。
困ったよねェ。
「俺の話より髪を整えるのに夢中なんてショックだぜ」
「何時だって可愛くいたいもん」
「ちっ」
「舌打ちは女の子にNGだよォ」
ある意味恋バナをしているのだけど全くドキドキしない、ドキドキでは無くイライラするよォ、んふふふ。
あの二人はキョウの花嫁姿を望んでいる、一部の分際で自分の立ち位置を理解していない、理解出来無い程に壊された?
壊し過ぎは良く無いよ、イライラするからね。
私が。
「やだやだやだやだ、キョウ助けてくれないとやだぜ」
「うっ、可愛い」
「こんなに我儘に暴れているだけなのに可愛いとか女は意味不明だぜ」
「………何かムカつくなぁ」
「だってそうじゃないか」
自分の可愛さを理解出来ていないのか、それとも理解しようとしていないのか、そのせいで今のような事態になっているのにねェ。
涙目になって訴えて来たと思うと突然真顔になる、悪女め。
私に似ちゃって。
「何だ、そっちこそ生意気だぜ」
「そうかなァ」
「もしかしてキョウも旦那さんになりたいのか、俺のさ」
「うぐっ、惜しいっ」
「惜しい?」
「そっちじゃない、そっちじゃないよぉ、私は女の子のキョウだよぉ?!」
キョウの胸倉を掴んで全身全霊で訴える、目を白黒させるキョウを無視して全力で――――ええい、ポジションが逆転してるよ!
この乙女っ。
「このぉおおお、バカバカバカ」
「はっきり言え」
「お嫁さんだろぉおおお、もぉおおおおおおお」
頬を膨らませて力説する、女の子にここまで言わせるだなんてちょっとどうなの?
キョウの女の子の『キョウ』は私だよ?
しっかりして。
「じゃあお嫁さんが二人かぁ、誰に貰ってもらおう」
「わかってないよね!」
どうせグロリアって言うんでしょ?
ヤ、だからね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます