閑話272・ 『ロリの嫁にされそう2』
キョウの中にいても『思考』する事で仕事はある程度出来る、しかしソレを他者に伝える為にはペンを走らせないといけない。
論文を読み耽りながら端的にポイントだけを纏める、世の中の流れは『遅い』、世の中に新たに発表された論文も数年前のものを『弄り回した』代物が多い。
誤魔化される人間は大概だがその中で僅かなりにも自分の感性からは得られぬ閃きを見付けられたら幸いだ……ついでに小遣い稼ぎの為にわかりやすい解説を書き込む。
知り合いは多い程良い、こうやって裏方のバイトも出来る。
「放置される俺」
「良い子にしてなさい」
「はーい」
「良い子だ」
キョウが先程から何度も話し掛けて来る、具現化してくれたのに少し悪いなとも思う、しかし祟木が働いただけキョウの懐も……自分で使える小遣いも持っていた方が良い。
キョウの想い人に全てを管理されるのは可哀想だ、まだまだキョウは若いのだからお金を『使って』遊んだ方が良い、だからこうやって仕事に勤しむ、全てはキョウの為に。
自分の感性云々のくだりは実は二の次なのだ。
「嫁とか言って放置かよ」
「旦那が稼いでいるんだ、我慢も大事だよ」
「え、いま、稼いでるのか?」
「そうだな、読み終えて、簡略化して……然るべき処置をしたらお金になるのさ」
「ふ、ふーん、畑を耕しているわけでも物を売っているわけでも無いのに、変なの」
「キョウは純粋だね」
「う」
「キョウがそのままでいられるように祟木も頑張るとしようか」
「な、なんだよソレ」
研究を続ける為には色んな事をし続けて来た、利用しようとする者を逆に利用して来た、気付かれ無いように、嫌われ無いように、成果を餌に対価を望んだ。
だけどキョウは祟木の知識を得ても何も変わらない、絵本を夢中で読みながら文字を指で追う。
その純粋さと危うさが羨ましい。
「祟木の知識やササの技術を手に入れても『そうしない』のは立派な事さ」
「ん、んん?」
「金儲けに走らないなって、褒めてるつもりだが」
「え、あ、まあ、人間そんなにお金あってもなぁ」
「そうか」
「や、優しく笑うなっ、ガキじゃないんだぜ」
「知ってるさ、だからお嫁に欲しい」
「お前は見た目ガキだからなっ!」
子供が出来たらキョウに似て欲しいな。
いや、キョウでいい。
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