閑話268・ 『おバカ主人公だけどだからどうしようってわけではない』
他の一部は静観しているけど流石に私は静観出来無いよねェ。
そもそも一部では無いからね、アホ面で小高い丘の上で丸まる子猫を見る、まあ、キョウだけど。
どうして祟木と灰色狐と結婚だなんて事になってるんだろう、うん、事情を説明してよね、事情をねェ。
頭を軽く叩くと涙目になって睨んで来る、いやいや、睨みたいのはこっちだよォ、色合いの違う左右の瞳が潤んで瞬く。
「イテェ」
「そんなに強く叩いて無いでしょう?」
「これ以上バカになったらどうするんだっ、あの二人の所にお嫁に行く羽目になるぜ」
「それだよ、それ」
「あ?」
不思議そうに首を傾げるキョウ、癖ッ毛が風に揺れてポヨポヨしている、タンポポの……少しだけ笑ってしまう。
それが気に食わなかったのか視線はさらに冷たくなる、無駄だよ、可愛い女の子が必死に睨んでも可愛いだけだからね。
可哀想に。
「お、俺を下に見てるだろぉ」
「なにその質問、可愛いんだけど」
「何処に可愛い要素があるんだぜ?!」
「そんな事してるから一部如きに嫁に来いとか言われるんだよォ」
「う」
「自覚してよねェ」
「うう」
「おバカさん」
「うううううううう」
「バカ」
「せめてさん付けしてくれ!」
「バカさん」
「ん?なんかさっきと違う、何だろう」
顎に手を当てて唸るキョウ、無防備過ぎて心配を通り越して呆れる、キクタしっかりしなよォ。
しかしキクタはキクタで自分のお姫様が大人気な事にどう思っているのだろうか?キョウが幸せなら何でも良いのかな。
そこが私との決定的な違いだよねェ。
「な、なんだろ、何が違うんだぜ」
「バカさん」
「何だろう、うう」
可愛いねェ、んふふ。
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