閑話262・『近親狐高2』
「おめめ治ったー」
「めでたいのじゃ!」
「おめめ直った?」
「そ、そんな自分を物みたいに言うで無い」
宿屋の一室でキョウが万歳をして喜ぶ、めでたいのじゃ、しかしさりげなく危険な言葉が混ざる。
愛娘は今日も壊れている、可愛いのじゃ、そこも好きじゃ。
「視界が広いぜ」
「目が回復した事と『行われた事』は切り離して考えんとなァ、儂は許さんよ」
「えー」
「えー、と言われても仕方無いのじゃ、血の繋がった我が子を……しかも嫁入り前の」
「え、お嫁に将来的に行っていいの?」
「儂の所に」
「え」
「儂の所にじゃから」
「え」
「何時でも良いぞ」
「………近親相姦は駄目だろ」
あまりに不思議な答えに首を傾げる、儂は優秀で美しい、キョウも天然で可愛い、結ばれればこれ程に素晴らしい事は無い。
しかもキョウには儂の優秀な血が流れている、うむ、分かれた血が一つになる、素晴らしいのじゃ。
まあ、そんな事はどうでも良い程にキョウを愛している。
「しかしの、キョウ、儂は可愛い」
「しかしも糞もねーよ」
「娘のキョウも可愛い」
「お、おう」
「二人の子も絶対可愛いのじゃ」
「………何処から否定すればいいんだぜ」
「何処も否定する所は無いのじゃ」
胸を張って力説するとキョウは項垂れる、そうかそうか、わかってくれたか。
どちらが婿になろうか。
「罪深すぎる」
「♪」
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