閑話259・『『尻尾を箒にして放棄2』
傷の具合を確認する、まともに相手されたわけでは無く遊ばれた、一部にも序列がある、キクタは儂より以前よりキョウの一部。
しかも何度も『一部』にされて何度も強化されている、全身がキョウそのものと言っても良い、そして技術や能力はそれ以上、遊ぶだけ遊ばれた。
あの後ろに祟木がいる、儂の可愛いキョウの可愛い目玉を抉った憎らしい女、憎むべき女、お前の瞳を奪ってキョウに移植するのだ、そう、あの目は良いものだ。
良いものは全てキョウのものじゃ。
「灰色狐、怪我してる」
「ああ、少し、な」
「強い奴らにいじめられたか?俺が虐め返してやろうか?」
「そんな事はせずとも良い、それよりも傷を癒すのが先じゃ、儂の可愛いキョウ」
「片目が無くても?」
「可愛いキョウ、否定をする奴がいれば母に言え」
「?どうするの?」
「どうもせんよ」
嘘を吐き出す、この子は傷付けるのも殺すのも大好きなのに『どうしてか心を痛める』時がある、エルフライダーとしての本能と人間として生きて来たそのズレ。
故に行動を起こす事は伝えず、事後にも伝えず、何も伝えず、消す時は消す、この子の為に。
「祟木に手を出さないでよ」
「き、キョウ?」
「足をバタバタさせるのたのしー」
「可愛い……では無く、キョウ!」
ベッドの上で足を遊ばせながら釘を打つキョウ、違和感は無い、自分がどれだけ蹂躙されようと呆気無く一部を許す、そもそも許す許さないの概念が無いのじゃな。
知っておる、その傷がキョウが『させたもの』だと、知っておる、祟木を壊して遊んでついでで儂を壊して遊んで。
それでもじゃ、許せぬ、愛娘を傷付けた『指』が存在している事実がのぅ。
「かぞくだもんな」
「そうじゃ、いたたっ、派手にやりおって」
「そうか、じゃあおれがしかえししてあげる」
虚空を見詰めるキョウ、呆気無く立ち位置が変化する、これでは他者と人間関係を築く事すら出来無い。
可愛そうな愛娘。
儂がおるよ。
「はぁ、しなくて良い、それよりも母の胸に甘えとけ」
「むにゅ、ちいさい」
「す、すまん」
お、おるけど、胸は無いかもじゃ。
ごめん。
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