閑話258・『壊れかけなのに壊れない2』

キョウは祟木の胸に顔を埋めながら『栄養』を補給する、エルフの要素がある祟木の肉体から得られるモノは餌になる。


幼い表情、しかしその内面にある残忍性と『計画性』を練る能力を知っている……それに容易く支配されるこの幼い体も理解している。


だってこんなにも愛しいのに、壊されている自覚がある。


「ゆっくり飲むんだぞ」


「おう」


「―――――」


「お前のコレ飲んでたら意識しなくてもその内に再生するだろう、出鱈目だから、コレ」


我が身の事を『コレ』と表現する事を咎めようか思案するが無駄な事だ、他人も自分も全て『自分』であるエルフライダーには全てが曖昧で不確かだ。


だかたこうやって一部のものが愛情を伝えて繋ぎとめて――――祟木が潰した、命令されて支配されて潰した。


しかしそれで罪が許される事は無い。


「俺さ、こうやって片目潰させてのも、祟木汚染してるのも、全部お前が俺無しで生きていけない阿呆にする為なんだ」


「……」


「祟木って何でも自分で出来て自立してるじゃん、ムカつく、死ね」


「………」


「俺に甘えて?」


「わかってるさ、最初から――――」


「え、恨む?憎む?嫌いになる?」


「あるわけないだろ」


愛情が信じられないのか自分を傷めつけてまで『確認』しようとする、そうだ、キョウは正常だ、病的だと思うのならそれは感性の違いだ。


キョウは天上に生まれた存在なのだから、何もかもがこの世界と噛み合わない。


「どうして、そこまでプライドへし折られて」


「ああ」


「変なの」


「好きって気持は何でも凌駕する、愛しているって想いは容易く全てを受け入れる」


「あん?」


「あはは、キョウが好きだからもっと虐めて欲しいって事さ」


「っ」


「飲んで虐めて、キョウはヤンチャだな」


やっぱりキョウは凄いな、諦めずに何度でも祟木を壊してくれ。


望むのならその正常な目も奪おう、そして罪で祟木をもっと縛り付けてくれ。

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