閑話255・『キョウちゃん的に良かったね』
「灰色狐より祟木の仕上がりの方がヤバいかな」
二人で小高い丘の上で伸びをしながら息抜きをする、するとキョウは何も聞いていないのにそんな事を呟く。
肉体的な能力が最弱な事を除けば祟木は最強と言っても良い、卓越した頭脳、エルフ以外にも貪欲に好奇心を持ち知識を蓄える……そして社会的な地位もある。
幼い外見からは想像も出来無い程に覇気に満ちた少女、自分の研究が全てである点はササと同じだが彼女と違って『人を使う』事も長けている、つまりは完璧だ。
それを壊してどうしたいのかなァ、どうしたいの?
「祟木の使い勝手が悪くなるかもよ?」
「そうかな」
「そうしたら割とキョウにとって不利益になると思うけどォ」
「それでも祟木が今まで以上に俺に依存するならいいぜ」
「はぁ、どうしてそこまで」
「懐かない犬より懐く犬の方が可愛いだろ?」
何でも無い事のように呟く、キョウは無表情でまるで鋭利な刃物のような危険な雰囲気を纏っている、青空の下でする表情では無い。
私はキョウを見詰める、そんな危険なキョウも大好きだから、一度壊された私は肯定する事でしか生きていけない、んふふ、躾は完璧だね。
自分自身にもねェ。
「俺がいなくても生きていける犬より俺がいないと生きていけない犬の方が無様で可愛いだろ?」
「……あー」
「違うかな」
そうだね、祟木は他の一部と違ってそうかもしれないね、だからこのような展開になったのかと納得する、そう、孤高である事を許しはしない、この子は……。
祟木が全て自分で出来る事が羨ましくて妬ましいから怖そうとしているのだ、例え麒麟のように国を焼ける生物でも自分に依存して居れば問題が無いとさえ思っている。
問題なのはキョウ、キョウだけだよ。
一番壊壊れているのもね。
ねえ。
「あいつ、何でも出来ますって顔に書いてるだろ」
「キョウからはそう見えるだけでしょ」
「だから俺がいないと何が出来無い生き物にする」
「それだとあの子の旨味が無くなるよォ」
「無くなってしまえ」
「んふふ、怖い」
青空の下で狂気を蓄えるキョウ、でもまあ、夢中になれる事が出来て良かったね。
その為の一部なのだから、暇潰しの為のね。
んふふ。
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