閑話251・『奪い合いアイ2』

完璧なモノが完璧では無くなる事がこのような新たな美を生む、キョウの片目は空洞となり虚空がそこに広がっているだけ。


血は延々と垂れ流し状態で顔面の半分を血で染めている、白磁の肌が強制的に赤く染まる、それは祟木の罪の証だ、罪、大好きなキョウを傷付けた。


大好きなキョウを『傷付けられた』のだ。



「きょう、きれいな、め、たたりぎが、え」


「……おっぱい吸いな」


「え?え?」


「おっぱい吸えって、『そんなこと』よりもな」


胸を押し付けて何時もの様に満面の笑みを浮かべるが虚空と血染めの演出が異常性を表している。


それなのに胸を押し付けて笑う、わらう、わらう、何処までも深く、浅く、矛盾を抱えた軽薄でいて深い笑み。


「んむ」


「ああん、祟木赤ちゃんかわいいー」


大人の世界で生きて来た自分が今では赤子に成り下がっている、この子が望めば自分の立場も経歴も全て泡のように消えてしまう。


赤子になれと言われたらプライドをへし折ってそれになり切る、その虚空が罪の象徴なのだから、大好きなキョウを傷付けたことで逆らう気力も失せる。


好きに、使って、ください。


「吸って小さくしてね」


「ん、あ」


「まあ、小さいけどねェ、どうしたの、チラチラ俺の顔を見て」


「あぁ」


「目ん玉が片方無いのはお前のせいだよ、ちゃんと自覚してね」


「―――――」


与えられた罪深さ、自分が望んだものでは無い、キョウが強制的に与えたものだ、それを受け入れる、項垂れて、乳を吸いながら。


今の自分は祟木では無い、キョウの乳を吸う為の生き物だ、赤子、それを望まれているからそれに徹するだけ、なんてわかりやすいのだろう。


ちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅう。


ちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅう。


ちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅう。


ちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅう。


ちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅうちゅう。


おいし。


「ばーか」


ののしってくれ。


めを、えぐって、ごめんなさい。

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