閑話243・『狐では無く狸でも』
母乳(ぼにゅう)とはその名の通り母の乳の事である、人間の乳は一般的に人乳と呼ぶ、母が我が子を育てる為に体内で生成する乳房から分泌する白色で不透明の液体。
母乳は乳幼児の主要な栄養源となる、他の生物の母乳を加工した人工乳ではなく母乳で栄養を与えて育てる事を一般的に母乳栄養という……んぐんぐんぐんぐ、狐の乳は狐乳でいいのかな。
エルフを食う量も少し減ったが目に見える異常は無い、んぐんぐ、灰色狐の胸は僅かばかり膨らんだように思う、祟木の永遠ペチャパイとは違うな、すげぇーな、すげーロリ、いえいいえい。
「んぐんぐんぐ」
「キョウよ」
「んー?」
「美味しいか?」
「…………………甘い」
「?!」
「美味しいよ」
エルフライダーの習性なのかわかんないけど授乳時は素直になってしまうぜ、母性を刺激して母乳を生成するように促すためか?自分自身の事だけど全くわからん、わからなすぎる。
プロラクチンとオキシトシンというホルモンが体内で作用する事で女性は出産後の赤ちゃんに与える目的で母乳を生成するようになる、俺の母親たちも全員母性を刺激すればこいつと同じになるのかな?
初めて生産された母乳は初乳と呼ぶ、後々のソレとは違い主に免疫グロブリンAが大量に含まれている、赤子の消化管を保護する役割があるのだが今飲んでいるそれもまだ多く含まれている、どれだけ俺に対して過保護なんだ。
この狐、噛む。
「あん」
「あんあん鳴くな、コーンコーンって鳴け、バカ狐」
「こ、こーん」
「下手くそ」
母乳は新生児が自身の免疫系を完全にに機能させるまで新生児を保護する役割を持つ、つまりこいつは俺の事を保護したいって思ってる?まだ赤ちゃんのままでいて欲しいと思ってる?ふふん、普段の態度より母乳で本音がわかる。
そして母乳は……べ、便通の効果も持っている、胎便を排出させる効果と黄疸の原因となるビリルビンの形成も封じてしまう、うーん、エルフ以外を食っても最近は体調が悪くならない、こいつのお陰?母乳すげぇ、母乳やべぇ、何より。
母乳うめぇ
「ちゅーちゅー」
こうやって祟木と灰色狐から母乳を与えられて成長している……グロリアを抜かしたい、今はほぼ全てが同じだから……グロリアを護れるぐらいに大きくなりたい。
なのにこいつは母乳を通じて俺を護りたいってのが垂れ流し状態で笑える、護りたいのが俺で、護られたいのが俺では無いのに。
ばーか。
鳴け。
「お腹たぽんたぽんでおデブになったのお前のせいだからな」
「す、すまぬのじゃ」
「こ、これじゃあ……狐じゃなく狸になるぜ」
「それでも儂の子じゃ……キョウ」
丁寧に癖ッ毛を撫でられて少しだけ嬉しかった。
少しだけだぞ?
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