閑話242・『ちゅぽん、けぷぷ』

最近はずっとお腹がたぽんたぽんしている、グロリアが仕事でいない日は朝までんぐんぐしている。


早朝に帰宅したグロリアに『カエルのお腹』と言われたが別に傷付かない、暫く寝てればなおるし、何よりカエルは可愛くて好きだ。


カエルは好き、かえるは好き、蛙は好き、悪蛙は好き、アクは好き、ちゅーちゅーちゅー、母の胸に甘えていると記憶が混濁する。


蒼い月が俺を見下している、カーテンが風で揺れる、蒼は狂気の象徴だ、あおは、だから俺の精神を大きく揺さぶる、脳味噌に蒼が染み込む。


月を消してしまいたい、月は何時だって生物を狂わせるものだ、あれがなければ、まん丸で大きくてウサギさんがいて、それでそれでそれで、きらいだ。


んぐ、召喚してすぐに『食事』に入ったので灰色狐は服を僅かにはだけさせて対応している、俺のお腹をたぽんたぽんにする為にお前がいるんだから尽くせよ。


んぐんぐ、歯をたてる。


「いたたたた」


「けぷ、けぷぷ」


「ふふふふ、祟木より儂じゃろ?」


「けぷ」


「母の方がキョウを愛してやれる」


ロリの癖に母性全開で俺を見るんじゃねーよ、畜生、獣の分際で愛情全開で俺を抱き締めるんじゃねーよ、畜生、畜生、獣の分際でっ、妙に腹が立つが妙に腹は満たされる。


「愛してるって言って」


「愛してるぞ、キョウ」


「好きって言って」


「好きじゃ、キョウ」


「褒めて」


「可愛くて強くて良い子じゃ」


「……でも人間食べるよ」


「餌じゃ、気にするな」


「……んふふ」


「……………誰が何を言おうと儂がおる、母がおる」


「うん」


「祟木よりも母じゃろ?」


強引な誘導は嫌いだ、しかし時には従ってやるのも良いかなと思う。


強く噛みながら顔を上げる、ちゅぽん。


んふふ。


「い、痛いのじゃ」


「祟木よりも灰色狐の方が好きだよ」


「おぉ、おぉおお」


幼い顔を見っとも無く崩してバカみたい。


それよりも俺がバカか。

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