閑話238・『嫉妬狐め』

自分より体の大きい『赤子』に両手首を固定されてなぶられるのはかなり辛い。


運動しとけば良かった、そんな後悔だけが胸の内に……キョウはエルフを捕食するように祟木の母乳を……あー。


どうしたものかと溜息、いや、これはその為の『機能』なのだから与える事に不満は無いし、穏やかな表情で腹を膨らませるキョウは可愛い。


問題は灰色狐だ、昨夜もまた『あっちの世界』で襲い掛かって来たが『女性寄り』のキョウが足払いをしてさらに転んだ灰色狐の頭を踏み付けてニヤニヤしていた。


えーんえーん、子供のように泣きわめく姿を見詰めながら溜息を吐き出した、胸が痛むというか、何というか、何だかすまんとしか言えない、すまないな。


祟木は悪く無いが。


「祟木は悪く無い」


「……もう飲めない」


「もう出ない」


「嘘だぜ、ちゅー、出るぜ」


「……もう飲めないのでは無かったのか?……悩みを聞いてくれるか」


「イエイエ」


「灰色狐が顔面から地面をズサーするんだ」


「…………」


「それが悩みなんだがな」


「…………ん?」


「灰色狐が顔面から地面をズサーするんだ」


「灰色狐が顔面から地面をズサーするんだ?」


「灰色狐が顔面から地面をズサーするんだ」


うん、無駄な会話を重ねたような気がするが事実なので答える、キョウは顎に手を当てて唸る、闇夜に白い裸体が浮かぶ様は何度見ても美しい………互いに白過ぎる肌だ、幽霊では無いと笑う。


「おっぱい美味しい」


ちゅーちゅー、いきなり現実逃避をするキョウを冷たい目で見詰めながら溜息を吐き出す、自分の興味が無い事には徹底してコレだ。


ベッドの上でまぐわりながら思う、それもまた良し。


悪いのは灰色狐。


多分。


「どうしてズサーするんだろう?」


「祟木に嫉妬してるんだろう、本当はあの子の仕事だから」


「嫉妬……させとけさせとけ」


「……いいのかな」


「おう」


いいのかなぁ。

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