閑話232・『望むのか、死を、あはあ』
「祟木の為にポニテにしたぜ」
「………」
「よ、喜べや」
「………」
祟木が呆然としているので俺も呆然とする、二人揃って呆然とする……しかし改めて見ると可愛いな祟木、表情から感情は消え失せているが逆に人形めいていて美しい。
小さな街の小さな商店街、具現化した祟木とデートを楽しみたいのに反応が薄すぎる、自分から望んだ事なのにその反応の薄さは何なんだぜ、ぷんぷん、エルフに詳しくても恋愛には疎いなっ。
「ロリの癖に……」
祟木は『エルフの国』で育てられた影響で人よりも成長が遅いらしい、恐らく食べていた物や空気の違いだろうと教えてくれた………太陽の光を連想させる金糸のような髪が美しい少女だ。
しかも金箔を使用した金糸よりも生命に溢れていて見る者を魅了する、肩まであるソレを側頭部の片側のみで結んでいる……サイドポニー、活発的な彼女にとても良く似合っている、可愛らしいぜ。
瞳も同じように金色だ、見た目は愛らしいのに何処かライオンを連想させるような大らかで強い瞳、肌は研究職の宿命か透けるように白い……俺の一部の『大賢者』も『錬金術師』も白いしな、同じだ。
そんな活発的な彼女に相応しく服装はデニムのホットパンツにノースリーブのトップスだ、性的にオープン過ぎるんじゃね?凹凸の無い体だからセーフだぜ、ああ、良かった……お前と違ってちょっとは大人の俺を褒めろ。
褒めないとやだよ。
ひどいよ。
「い、や、ロリ云々は許してくれ……自分ではどうしようも無い事だしな」
「褒めて」
「あ、ごめん、見惚れていた」
「褒めてって言ってるでしょ!」
余所者で容姿的に目立つ二人だ、すぐに視線が集中するが何かをされるわけでも無い、癇癪持ち、俺は苛立ちのままに叫ぶ、何時も冷静なはずの祟木の小さな体が大きく震える、まるで叱られた子供のように。
幼い時から優秀な学者として生きて来た祟木、彼女に苛立ちのままに叫ぶ人間なんて恐らくいなかっただろう、でも俺は素直に叫ぶ、どれだけ理不尽でも、どれだけ矛盾でも、どれだけ自分勝手でも、お前が笑顔で褒めてくれると思ったのに。
ひどいよ。
「泣かないでくれ、祟木の可愛いお姫様」
こいつの場合このような言い回しも気障にはならない。
ああ。
むかつく。
「お仕置きしてやる」
「いいよ、キョウ」
「褒めてよ」
「可愛いよ、世界で一番可愛い、祟木だけのお姫様」
「――――――虐めてやる」
「望む所さ」
許さないから。
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