閑話230・『満天キョウ満点』
「私の為にですか」
「貴方の為のポニテキョウちゃんです」
「ちょっと待って下さいね」
目頭を押さえて暫し静止するグロリア、帰って来た彼女に状況を説明するとこのような状態に……すっかり夜も更けて虫の音が気持ち良さそうに響き渡る。
俺が『えへへへ』とくるくる回ってどうだと主張するとグロリアは手を避けて凝視する、自分と同じ顔、自分と同じ背丈、髪や目の色を除けば鏡写しの存在。
それが理由で飽きられたり嫌われるのは嫌だなぁと思った、他の異性にモテたいとかそええは建前で……正直にはなれない、手に巻いた包帯も全て鏡写しな二人。
嫌われたくはない。
「グロリア?」
「んー、少し感動しました」
「少しだけ?!」
「ふふ、不満そうで結構」
「う、うー」
「うーうー言うのは止めなさい、見っとも無い」
「………」
「睨むのも止めなさい、可愛い顔が台無しですよ」
「うへへ」
「………えい」
突然頬を引っ張られる、痛いぜ、グロリアの行動にしては珍しい、うん、そして意味が無い……衝動的なものだと思うけどどうしたんだろうか?いひゃい。
すぐに解放される、両頬を両手で押さえながら涙目になる、奇行は俺の専売特許でグロリアのものでは無い、首を傾げて見詰める、グロリアの白磁の肌が少し赤い。
どうしたんだろうか?
「まあ、ありがとう……です」
「んー、何が?」
「……私の為にしてくれたんでしょう?」
「そうだよ」
「彼女を褒めるのは彼氏の務めですから」
「グロリア女の子じゃん」
「ああ、そうでした、ついついキョウさんが乙女らしいので」
「変なの」
「私の方が彼氏っぽいでしょう」
「うん、彼氏の為に彼女はオシャレに忙しいのだ」
「はいはい」
全く……可愛い彼女で心配ですよ。
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