閑話229・『同じ顔の女の子』
現実の世界の出来事は湖畔の街にも影響する、まあ、あれだけ苦労すればねェ。
ポニーテール、口紅、まあ、祟木はちゃんとわかっている、目先を少し変えてやれば良い。
キョウは素材が『良過ぎる』のだから余計な事はしなくて良い、自慢するキョウに『はいはい』と頷く。
口では色々言ってるけどグロリアに飽きられない為のものだと思えば可愛げがあるかな、それを許せるかどうかは別の話だけどねェ。
「ぬはは、可愛かろう」
「わかったわかった」
「投げやり!?キョウ?!」
「何度も自慢されたらこうもなるって」
「でも可愛いだろう!」
「自分と同じ顔を何度も見せられてもねェ、んふふ」
「うっうっ、グロリアも自分と同じ顔だからって俺に飽きるかな?」
捨てられた子犬、いや、産みたての子犬?何とも言えない表情でそう問い掛けるキョウに嫉妬の自制が――――どうしてあの女に喜んでも貰う為にそんなに頑張るのだろうか?
下唇を噛み締めて俯く、どうも良く無い、今のキョウは『すこぶる』可愛くて今すぐに抱きしめたいのに嫉妬がそれの邪魔をする……いや、グロリアが私を邪魔している、何時も何時も何時も。
うざったい。
「そうだね、同じ顔だし、つまらないかもね」
「ぽ、ポニテにしたし」
「顔は同じだしねェ」
「………………キョウは?」
「んー?」
「キョウは飽きない?」
水面に太陽の光が反射して眩しい、そしてキョウはそれ以上に眩しい、こちらの心のドロドロなんて知らないと『あまりに可愛らしい』事を言うので思考が停止してしまう。
同じ顔をしているのにこうも違うんだねェ、キョウは純粋だ、私は腹黒だ、そしてそれが一番良いバランス、私が私じゃないとこの子を護れないからね、んふふふふふふふ。
好きだよ。
「飽きないよ」
「お、同じ顔だぜ」
「今日はポニーテルでしょう?」
「そ、そうだぜ、やっぱり………凄いな、女の子」
「んふふ、なぁにそれ」
「飽きたら殺すぞ」
「いいよ、その時は殺して」
グロリアが飽きたとかふざけた事を言ったら私が殺してあげるね。
そのポニーテールも今度は私の為に……ね。
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