閑話224・『宇治死』
自分自身も一部も駄目ならどうだろう、遠方にいるそいつを俺の肉を使って無理矢理具現化する。
向こうでは意識失って寝ちゃうのかな?そして死んじゃうのかなあ?多分大丈夫だろう、それよりも今の俺の欲求の方が大事だぜ?
故郷で俺に相応しいエルフを見繕っている裏切り素敵エルフは肉が弾け油が弾け骨が軋みながら形になる、ねちょねちょ液体祭りだぜ。
ベッドに腰かけてそれを見詰める、一日も後半戦、夜が世界を包み込む、ふふん、一部じゃないが祟木と繋げているからこのような事が出来る。
完成体。
「起きたか」
「ぉぉぉぉぉ」
「起きたかって聞いてるんだぜ」
「ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお」
「うるせぇな、オイ」
エルフの中でも古い血を持つ『クランタ・エルフ』の宇治氏(うじし)、普通のエルフよりも耳が大きくそれをセンサーにして大気中の魔力の流れを読む事が出来る。
白藍(しらあい)……黄みを少し含んだ淡い水色をした髪、襟足を外ハネにしたショートボブにしている、活発で頭の回転の速い彼女にとても良く似合っていると思う。
瞳はやや細目で閉じるように瞼がかなり下げられている…………癖のようなものらしい、瞳の色も髪と同じ白藍しらあい……クランタ・エルフの特徴で純血は皆この色の髪と瞳をしている。
「エルフライダー様っっっ、お久しぶりっす」
「おーおー、久しぶりだな、学者さま」
「ご冗談を、エルフライダー様の忠実な下僕である宇治氏に何か用事っすか?」
活発な彼女は頭の回転も口の回転もはやい、事情を説明すると顎に手を当てて唸る。
どうしたんだろう、良いエルフはどれぐらいいるのか聞きたいのだけど必死な表情につい黙り込む。
「お化粧……男っすか」
「その場合は?」
「エルフライダー様に気付かれ無いように消します」
「そうか……」
「……女っすか」
「その場合は?」
「非生産的だと思うのでエルフライダー様に気付かれ無いように殺します」
「本音は?」
「殺したいから殺すっす」
「『殺すっす』ってなんか怖い」
「殺すっすっすが怖い?」
「倍倍ゲームになるから止めて、そんでお化粧は?」
「え、エルフライダー様のお顔にそんな汚らわしいものをっ」
「はいはい」
信者も駄目だったぜ。
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