閑話222・『代替え魔物は下半身』
乗り物に問い掛けるのは如何なものだと思うけど仕方無い………どの一部も理由が酷い、俺ぐらいのお年頃だったらお化粧は普通だよな?
四肢を地面に預けて恭しく頭を下げる乗り物、クアク、そこそこ高位の魔物だが俺の『幹部たち』と比較したらなぁ、乗り物としては最適だ、最適なロリだ。
「お化粧わかるか」
「お化粧ですカ」
「アクはそーゆーのわかる?」
「人間の文化だと思いまス」
「う、またそれか」
「高位の魔物は着飾る必要は無いでス」
「乗り物の癖に正論吐くな」
幼い魔物だ、人外は幼い容姿をしたモノが多いが彼女は本当に幼い、見た目の年齢のまま10歳ぐらいだろう、着込むのは樹皮衣で簡易的で実用的だ、かつて人間の集落から奪ったものだろう、オヒョウやシナノキの内皮繊維で織られた衣服だ、魔物が着込んでも違和感が無い、ふふ、そもそも見た目が人間だものな。
真っ白い髪は腰まで伸ばしていて一本の紐で無造作に括っている、白髪だが光沢があり動物の毛並みのように鮮やかに輝いている。
「お前より妹を生かしてた方が良かったか」
「妹ですカ、いもうと、何でしょウ、ソレ」
「んふふふふ、お前の妹だよ」
「?」
「あっちの方がまだ男に都合が良さそうだったかな、お前の方が四肢が丈夫そうだから選んだけど」
「あ、貴方の下半身は私でス」
涙目になって訴えるがそもそもお前は俺に『無理矢理』一部にされたんだぞ、しかも騎乗用の獣としてさあ、それなのに今ではそれが当たり前になっている様が滑稽だぜ、村を滅ぼして妹を殺して何が下半身だ。
ばーか、くふ。
「しかし下半身にお化粧を聞いても無駄か」
「無駄でス」
「そして妹の事を聞いても無意味だ」
「無意味でス」
媚びるように瞳が潤む、俺の前では何時でも四足歩行、素敵な畜生。
クアク、誰の代替品だったかな?そいつはもっとオシャレに詳しくて可愛くて、それでそれで。
それで?乗り物よりは便利じゃなかったよな。
ああ。
「お前でいいか」
「はいでス」
お前が代替品で。
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