閑話217・『神々しいつーかエロい』

「うーん、聖職者がお化粧とは――どうでしょう」


「うっ、お、俺は体はシスターだけど中身は――」


「シスター・キョウはシスターです、絶対にシスターです、シスター・キョウがシスターじゃないんならこの世界のシスターはみんなシスターじゃありません」


「うっ、謝るから長文止めて」


「?」


微睡壬(まどろみ)は不思議そうに首を傾げるが首を傾げたいのはこっちだ、忠誠心では一部の中でもトップクラスだが『シスター』に対する思い入れが強過ぎる。


しかも俺を抱き締めてベッドの上で幸せそうに微笑んでいる、ロリの癖に俺を抱こうだなんて生意気だぜえ、ぷんぷん、お化粧教えてくれないのかな、こいつもお洒落。


あれ、お洒落じゃないの本体の俺だけ?焦って微睡壬の肩を掴んで向き直る、開けっ放しの窓から差し込む太陽の光がロマンチックだが今はそれ所では無い。


え、え、え。


「お、おぉ」


「シスター・キョウは今日も美しいです、こ、興奮します、は、鼻血」


「鼻血は出すな、我慢しろ」


「我慢出来るものなのですか?!ふぁあ、シスター・キョウは何でも知ってて凄いです」


「…………可愛い奴め」


「あああああ、ぐりぐり止めてぇ、あ、やっぱり続けてぇ」


「…………」


「ありがたやありがたや」


ありがたがるなありがたがるな、光り輝くように明るい緑みの鮮やかな青色の視線が俺を見ている、毎度の如く信頼と信望と心酔が混じり合った一直線の視線、見ているだけで恥ずかしくなるような視線。


金春色(こんぱるいろ)の瞳は何処までも済んでいて邪気が一つも無い、そして知性もあまり無いように思える、何なんだこいつ、髪の色も同じ色彩をしており全てが鮮やかな青色で構成された特殊な少女、顔の造りは柔らかで嫌味の無い美少女。


少しトロンとした瞳が何故か欠伸を促す、こいつを見ていると何だか眠くなるし安らぐ、艶のあるサラサラとした髪は肩より少しだけ長く伸ばしている、前髪を眉の上できっちりと切り揃えているし両側の髪も同様だ……清潔感があって清廉な女の子。


カッパクラウサと呼ばれる丈が異様に長く黒いマントに似ている衣服は学者や学生が好んで着用するモノだ、学校行った事ねーけど、それもまた自分と同じ金春色(こんぱるいろ)のモノで青い、ケツも青そう、頭には同じ色の正方形の角帽。


板の中央上部にの部位から吊るされた房を垂らした平面の正方形帽子は何だが本当に学者見たいでカッコいい……少なくとも俺よりお洒落、俺より女の子、うぐぐ。


「お洒落だな!お化粧は!」


「うへへ、した事無いです」


「………マジか」


「お子様なので」


確かにお子様だ、しかも勉学に励んでいた過去からそーゆーのに疎いのか?こ、こいつも駄目か?


「シスター・キョウ、鼻血がっ」


「どうして出るんだよ」


「シスター・キョウを見てたら急にっ!」


「………思春期か」


俺がお化粧をしてグロリアを惑わせたいのにお前が俺に惑ってどうするよ。


全く、トントンしてやる。

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