閑話209・『お化粧よりも小さいカニ味噌』
前回の失敗を踏まえて今度は違う一部で試す事にした、取り敢えず、お化粧はみんなもするだろ?いや、ロリばかりだからなぁ。
キョウに禁止されているしキクタに何度も注意されているし他の一部も使うのを禁じるように口煩い、どいつもこいつの『俺』の癖に生意気だぜ。
目の前でかしずくそいつを見て思う、大丈夫だろう、つーか最近具現化して無くて会いたかった、古びた宿の一室で俺の足の甲に何度もキスの嵐が吹き荒れる。
ロリ臭くなるから止めて。
「酷いんだぜ、墓の氷、結局何も教えてくれねーし、そうだろ」
「仰る通りです、自分の立場を理解出来ぬほどに低脳なのでしょう、ご主人様がお気にするような事ではありません」
「う、うん」
「それでもまだ不快感が残るのであれば我が始末しましょう」
「え、しまつ?」
「ええ、始末」
麒麟が呼吸を置かずに即座に進言するのを見て足が大きく震える、俺に恋して愛しちゃって独占したい神獣は全てが過激だ、過激すぎてその発言に軽く引く。
純粋培養つーか世間を知らないお嬢様つーかあまりに浮世離れしたその精神は容易く俺に夢中になった、しかしその愛情の表現の仕方がやや攻撃的で独占的なのも否めない。
「お、おけしょぉ」
「ご主人様には不必要なモノかと、あれは見た目の『程度が低い』者が行う作業だと思います」
「お前……女の子の努力を作業とか言うなし」
「し、失礼をっ」
「お前、自分が何を言って叱られてるのかわかって無いのにすぐに謝る癖を止めた方がいいぜ」
「――――」
「土下座しても足をペロペロしても駄目ェ」
「……………少しお待ちを」
「死んだら殺すぞ」
自殺するつもりじゃねぇだろうな、矛盾する言葉を吐き出しながら涙目になる麒麟を見下す、こいつはすぐに過激な方へと向かう傾向がある、恐ろしい奴め。
ローズクォーツ、美容の秘薬とも呼ばれている女性の美しさや一途な愛を彷彿とさせる鉱石、紅水晶とも呼ばれていて美しい色合いで人々を楽しませる、そんな桃色の薔薇と同じ色合いの瞳が潤んでいる。
一心に見詰めている。
「で、ではどのようにすればご主人様のお心を――」
「お前如きにどうこうされる俺じゃねぇぜ……うーん、麒麟も駄目か」
「うぅ」
「駄目駄目かぁ」
山吹色(やまぶきいろ)のソレは前髪を水平に一直線に切り落としている、肩まで伸ばした髪も同様に一直線に切り落としていて清潔で整然とした印象を見るモノに与える。
頭を垂れる麒麟のソレを無造作に掴んで顔を持ち上げる、幾らか髪の毛が千切れるが気にしない。
「お前も顔は綺麗だけど脳味噌は小さいもんな……女は見た目だけじゃないのかもな」
「うぁ、ご主人様に改造して頂いた自慢の脳です」
小さいけどな。
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