第439話・『キョウちゃんの一部』
キョウの様子をキョウの中で観察する、爬虫類め、一部とは思え無い程に馴れ馴れしく、キョウに新しい世界を見せる。
どの一部もキョウに対してそのように振る舞えない、愛情があり、主として忠誠を誓った事実がある、だけど爬虫類にはそれが無い。
キョウはそれを嬉しく感じている、かつての部下子やアクを連想させる振る舞いが嬉しいのだろう、心なしか仕草や所作がアクに似ている気がする。
どちらも人工的な生物だし何かしら共通点があるのかなと思う、キョウに躾けられたせいで殺意をコントロール出来ている、消したいけど消せない。
キョウは言ってくれた、あれを殺そうがどうしようがキョウを愛する気持ちに変化は無いと、だったらここで観察しよう、何時の日か殺せるように、許可を貰えるように。
「しかしどうしうようも無い程に無礼ね、あいつ」
危うい所もある、麒麟のように盲目的であるだけなら良いがあれはさらに自由に行動が出来る、それはどれだけの可能性を秘めているのだろうか?
一部にして他人でもある、一部であるだけの多くの存在とキョウの影である自分、そして他者であるグロリアの良い所取りのような気がする、忌々しい。
「忌々しい」
口にするとより忌々しい、今も雪山で二人で仲睦まじく歩いている、何時ものらすぐに私に頼るのに現状を楽しんでいるようなキョウの振る舞いに戸惑いを感じる。
あいつとの旅を楽しんでいるのキョウ、グロリアばかり意識していたけど笑うに笑えない、しかしもう手出しはしない、偶然死んでくれないかな?あいつは他の一部と違って再生出来無い。
不完全な癖して。
「ゴミめ」
「虫め」
「汚い生き物」
「キョウに汚さが『移る』」
「爬虫類が」
「爬虫類が」
「そうだね」
ブツブツと呟きながら模索する、あいつは一部であって一部で無い、なので他の一部に―――――同じ一部を生み出せばお互いを『一部』として認識出来るかなあ、くふふ。
キョウは何でも無い事のように言ってたけどもしかしてそれって素敵な事じゃないの?同じような一部を生み出せば反発するんじゃない?他の一部達のように、自分のポジションを奪われる恐怖。
キョウがつくらないのなら、私が一部を生み出せば良い、ああ、あいつと同じ、爬虫類で、汚くて、半端な一部、そうだ、私にも出来るもん。
私もエルフライダーだから。
「良い事だ」
「これは良い事を思い付いた」
「私だけの一部、キョウのあいつを殺す一部」
「くふふ」
目標が出来た、とてもとても素敵な目標。
私の一部でキョウの一部を消せば良い。
良い。
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