第429話・『殺させ遊戯』

キョウを支配するのは初めてだが上手に出来た、そうか、グロリアを嫌わせようとしていた時に俺に干渉していたのはコレか。


キョウの技能を一つ盗めて俺はまた強くなった、キョウは俺の知らない能力や知識を持っているから侮れない、こうやって無理矢理奪うしか無い。


現実世界の俺もそろそろ倒れているだろう、一部を殺さなくて済んだのは本当に良かった、しかしキョウに嫉妬されるのは嬉しいな、私は俺に夢中だ。


指先を舐められる感覚に酔いながらキョウを見下す、瞳はトロンと溶けている、頬も紅潮してまるで発情期だな、見下しながら愉悦に塗れる、仕方の無い奴。


キクタを庇おうとしたのは減点だけどなァ、だからお前がキクタを虐めるように苛めるように殺せるように教育しないとォ、あはぁ。あははははははははは。


「キョウ、れろ、キョウ、きょう、しゅき」


「ころせー、ころせー、ころせー」


「ん」


「親指噛むなや、ころせー、ころせー、キクタをころせー」


「んん」


乳首じゃねぇーぜ、キョウは夢中になりながら親指を甘噛みしてる、変な出汁でも出てるのか?ふふふふふっ、その間に洗脳する、教育する、俺と重なるように。


キョウはキクタに僅かながらの恩義を感じている、それを取り除いて憎しみを流し込む、一部にするのよりずっと楽だ、んふ、こいつは俺だもの、すぐに俺のエルフライダーの能力に染まる。


お前が俺を染めてグロリアを嫌わせようとしたようにねェ、今度は俺がお前を――キクタを殺せる仕様にしてあげる♪だってキクタは大好きな大好きな一部なのに俺を裏切ったんだもん。


キョウを封じててって命令したのに、他の一部ではキョウを封印する事は出来無いから信用して命令したのに、俺の命令よりキョウを選んだんだもん、そんな一部は俺の一部じゃない、許せない。


あれ、おれ、だれにしっとしているんだっけ。


キョウ?


キクタ?


仲をグチャグチャにしてやる。


中をぐちゃぐちゃにしてやる。


「え、あ、くすぐったい」


「ん」


「あたまのうらがわがむじむじ、うぅ」


キクタはキョウより俺を優先しなきゃダメ、絶対にダメ、許せない。


キョウはキクタより俺を愛さないとダメ、絶対にダメ、許せない。


ああ、俺は二人に嫉妬してたのかァ、一番大好きな二人が俺を無視して勝手な事をしたから。


だからこんなにも不快なんだ、不快で不快で脳味噌が狂いそう、狂ってしまえ、そっちの方が楽だ。


「全部済んだらキョウがキクタを―――そうだな、一度ぐらい殺させて、復活させればいいし」


「ん、ん」


「間抜けな鯉みたいなキョウ、口をパクパクさせて、そうだ、キクタの肉を食わせよう」


裏切り者は裏切り者を食え。


ばーか。

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