第427話・『逃げキクタ』
キョウの残酷な笑みが深くなるのを見て動揺する、キクタを庇うわけでは無い、でもキクタは私の言葉を聞いて封印を解いてくれた。
あいつは私をキョウの為にと解放してくれた、だけどキョウは私の顔を覗き込みながらキクタを『半殺し』にしようと提案する、私を傷付けたと、自分を傷付けたと。
キョウはキクタを大切に想っている、しかし過去の記憶と現状がエルフライダーの能力に後押しされて残酷な一面を増長させている、愛しているからこそ裏切りを許さない。
私とキョウは同じ存在、故にキョウの感情に引きずられる形でキクタへの憎悪と怒りが増幅される、先程までどうやってキクタを庇おうか思考していたのにどうやって傷付けようか―――あ、だめ。
怒りを、キョウに、キクタ、にげ。
「駄目だ、なんで、なんで、なんでなんで、ああ、キョウ、お前、俺よりキクタを優先するの、そうなの」
ポロポロと涙を流しながらキョウが頬を寄せて来る………キョウを泣かせたのはだぁれ、思考がそれに染まる、それだけしか考えられ無くなる。
怒りの感情が胸の内がら全身に広がり暴れ回りたい衝動にっ、違う、キョウ、キクタは私とキョウを想ってあの一部は危険だと、伝えられない、舌が動かない。
頭が真っ白になる。
「ねえ、俺と一緒にキクタを苛めよう、虐めよう、怖そう、ねえ」
「だ、め、だよォ」
「まだ調整が難しいな、俺なのに私が命令に従わないと駄目じゃないか、俺の一番大切な女の子」
「あ」
「ふふ、すぐに靡く、さあ、もっと俺と重なろうぜ」
「きくたは」
「キョウが俺を愛している証拠がみたいなぁ、お前を助けたキクタをお前が傷付けろ、俺と一緒に」
「きょうと」
「何時も一緒だろ、キョウ、女の子のキョウ、俺の可愛い私……嫉妬して一部を殺そうとした愚かしい私、んふふふ」
「きょう」
「おまえもおれをうらぎるの」
「うらぎらない、ぜったいに」
私はキョウを護る為に生まれた、裏切るわけが無い、裏切れるわけが無い、キョウが笑っている、私を助けてくれたキクタを蹂躙する様を想像して笑っている。
わたしは、きくた、ごめんね。
わたしがわるいの。
あなたもわるいの。
キョウが何時でも正しいのが私達のルールだからわかるよね。
謝らないよ?
「出来るよな、俺のキョウ」
「キクタを傷付けるの、出来るよ、キョウが望めば」
私は貴方の一番大切な女の子だから。
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