第425話・『わたしとわたしのきょう』

何も聞きたくない、何も見たく無い、キョウが奪われる音も映像も見たく無い。


私にはキョウしかいない、グロリアには他に沢山あるでしょう?みんなにも……でも私にはキョウだけ。


満足しているよ、私がキョウで俺がキョウだもん、でも時折それを『誰かに』奪われるんだ、キクタのように、アクのように。


私からキョウを奪う輩はみんな消えて欲しいのに、みんなキョウになって永遠の狭間まで一緒に―――いらないのに、キョウには私だけで。


『また消えた』


『誰だった』


『だぁれ』


『れい』


『みんないなくなった』


『おれをおいてみんなそとのせかいにでた』


『おれはこのろじうらで』


『ひとりしんだ』


『ひとり』


『ひとりはさみしい』


『だからもうひとりいる』


『でもたにんはしんようできない』


『おまえが』


『おまえがいる』


『キョウがいる』


『おれのたいせつなきょう』


『おまえだけでいい』


そう、ああ、そうだった、キョウには私だけで良かったのに、何時の間にか邪魔者が増えた、増えすぎた。


でも何時だって失って悲しむのはキョウ、でも何時だって喜ぶのは私、誰かを失っても私の所に戻って来てくれる。


でも今は違う、キョウを操って邪魔者を消そうとしている、キョウが望んでいないのに私が我慢できなくなった、キョウの大切な人を。


キョウ、私の事を嫌いになるかな、キョウに捨てられたら私は、わたしは、おれは――――――おれはやだ。


わたしは。


「見付けたぜ、俺の世界で一番大切な女の子」


うそいわないで。


きょう。

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