第424話・『私と俺のキョウ』
暗い闇の底で泣いていた、裏切られて捨てられて否定されて貶された。
だから誰も信じない俺になった、信じられるのは同じエルフライダーだけ、キョウだけ。
でも闇の底で泣いていたのは俺だけだったのか、もしかしてキョウも泣いていたんじゃないか、辛い矢面にはあいつを立たせて。
心が軋む、闇の底を這うようにして歩く。
『来ないで』
『来て』
『泣いていないから大丈夫だよォ』
『泣いているから顔を見られたくないよ』
『キョウ』
『キョウ』
『『私は大丈夫だから俺を大事にね』』
悲痛な声と穏やかな声が交互に聞こえる……強がりなのは俺もキョウも同じだなと思う、そして寂しがりやな癖に誰かを求めてしまう、俺は様々な人を、キョウは俺を。
キョウには俺しかいない、それを忘れていた、それに気付かぬふりをして一部を生み出していた、一部は一部だ、キョウからすれば―――――でも気になるのがお前だもんな。
『だいじょうぶ』
『だいじょうぶ』
『キョウがいればいい』
『キョウしかいらない』
『一部も嫌い』
『大嫌い』
『キョウが好き』
『ずっと好き』
『グロリアがキョウを奪う』
『キクタがキョウを奪う』
『アクが』
『ときくずが』
『わたしのきょう』
泣いているのは俺じゃなかったな。
ずっと泣いてたのはお前だった。
ごめんな、気付いてやれ無くて。
「見付けたぜ、俺の世界で一番大切な女の子」
蹲るキョウ。
見付けた。
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