第418話・『動物の餌になりたい主人公』

視線なのか死線なのかはっきりしてくれ、死を願う視線であるのならば流石に黙ってねぇぜ。


土岐国栖の企みは俺の死なのか?状況を冷静に分析すると頭が痛くなって来る……野宿の際も好意と殺意が入り混ざっている。


一部に死を願われるのは流石に初だな、少しショック、それとも俺の勘違いなのだろうか?本人に問い詰めたいが素直に答えてくれるかどうか。


土岐国栖の考えている事はわからない、他の一部と違って完全に俺になってないからだ、だったら完全に俺にすれば良いだけだがそれはちょっと、今までの苦労っ。


「土岐国栖、もっと枝足して」


「のだ」


「そして俺を殺そうとし無いでなっ」


「そんな事を思ってはいないのだ」


「嘘だ」


「本当なのだ、キョウの餌やり係に対して失礼なのだっ」


「……だったら良いけどよォ」


「二度とそんな事を言っては駄目なのだぞ」


「チッ」


「舌打ちも下品だから駄目なのだ、女の子なのだから」


独特の濃い色合いの緑の髪を手櫛で整えながら説教される、髪は虫襖(むしあお)と呼ばれる独特のソレ、玉虫の翅(はね)のようにやや暗い青を含んだ緑色の髪、触って何度も何度も整える、女の子だなァ。


別名では夏虫色(なつむしいろ)とも呼ばれて親しまれている、玉虫の翅(はね)は光の受け方で紫色や緑といった様々な光を放つ、古代から織物で玉虫色を表現するのは難しいと言われて高貴なモノとして扱われた、縦糸を緑にして横糸を赤を若干含んだ紫で構成したものが最上として扱われる。


全体に優しく柔らかくかけたパーマがまるで水底の水草のように青々と輝く、美少女だなァ、ロリくせぇ。


「ふんっ、何時か殺そうとしてる癖に女の子扱いするんじゃねぇぜ」


「だ、だからそれは誤解なのだ」


「俺は殺意には敏感だぜ」


「お肌も敏感なのだ、夜の乱れ方はちょい凄いのだ」


「さ、最近誘ってもくれねぇし、飽きたから殺すつもりだぜ」


ホーホーホーホー、梟の声は穏やかだが森の小動物からしたら絶望の声なのだろうと思う、土岐国栖の声は可愛いけどエルフライダーの餌からしたらきっと絶望の声なんだろうなァ。


お前は俺も誰かの餌にするの?


ビクビク。


「キョウ、少しだけ、少しだけ待って欲しいのだ」


「殺すなら楽な殺し方で頼む」


「だ、だから」


「基本的に美少女の餌になりたい」


「の、のだ、キョウは捕食側だろ」


そうだな、時には食われる方になりたい。


次の一部には俺を食べさせてやろう。


ふふ。

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