第417話・『女の子なんだから、言わないの』
キョウが褒めてくれた、お前は男っぽい所があって頼りになると……女性としては微妙な気持ちだが良く考えれば男であろうが女であろうがどうでも良い。
それがキョウに好かれる要素であるならば喜んで受け入れるのだ、そうかそうか、キョウは中性的な女性が好みなのかァ、どちらにせよ嬉しかったので『キョウは女の子らしい』と逆に褒めてみた。
すると困ったような顔をして笑った、んー、キョウは時折人が変わったかのように女性である自分を否定する時がある、まるで男から女に変わったかのような、あの女のキョウでは無い、もっと複雑な気がする。
そーゆー時は『男らしい』一面を見付けて褒めて上げると喜ぶのだ、キョウと一緒にいるとキョウが喜ぶポイントやらが色々わかる、だけどホントは違うのだ、キョウが一番喜ぶのはキョウが一番大切な女のキョウ、メスのキョウを殺す事。
それによって愛情は最大限に膨れ上がる………しかし出て来ない、あの女のキョウが出て来ない、そこはかとなく聞いて見たが『今はお仕置き中かつ封印中』と言われた、意識の底に封じているとか難しい事を言っていた、早く出て来て、早く殺したい。
キョウを愛したい。
キョウを殺したい。
キョウが二ついて良かったのだ。
「お前さ、好意と殺意どっちかにしてくんない」
「のだ」
野宿をしているとついついキョウの行動ばかりを目で追ってしまう、そして何時メスのキョウが出現しても良いように体の隅々まで神経を張り巡らせている。
それが簡単に見破られて少し落ち込む、どうしてわかるのだろうか、なるだけ普段通りに振る舞っているのだが……視線でキョウを追うのも何時もの事なのだ。
「キョウこそ男のキョウと女のキョウどっちかにして欲しいのだ」
「な、生意気言うな」
「なまいき?」
「もう一度言ってくれ、生と意気を区切って」
「生、イキなのだ」
「ふぅ………お前がバカで素直で良かったぜ、きゃっほう」
何が嬉しいのか顔を赤くしてはしゃいでいるキョウ、な、何だろう、少しオヤジ臭いのだ。
そんなキョウも好きなのだけれど何処に喜ぶポイントがあったのかわからないのだ、キョウの喜ぶ事は全て知りたいのに口惜しいのだ。
一番喜ぶことだけは知っている、メスのキョウを殺してキョウの餌にすること。
知ってる。
「な、何が嬉しかったのだ」
「もう一度言ってくれ」
「な、ナニが嬉しかったのだ!」
「ふぅ、バーカバーカバーカバーカ、ぎゃはははは」
ケラケラ笑い転げるキョウ、物凄く下品な笑い方だが心の底から嬉しそうだ。
わ、わからないのだ、もっと色々教えて欲しいのだ。
うぅ。
「お前は可愛いなぁ、もう」
「何で頭撫でるのだ!?」
わけがわからないのだっ。
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