第409話・『好きの反対はキス、キスの反対は好き、スキスキ、キスキス』

尻尾があるとあんな事も出来るんだな、鳥の鳴き声で起床する、健康的な生活だぜ。


全身にキスマーク、小さい唇の痕、あれだけ激しく絡んだ名残だと思えばまだな、可愛いものだぜ。


新陳代謝を活性化させてなおそうとして気付く………別にグロリアがいるわけでは無い、誤魔化す相手もいないのに何してるんだ俺。


動物の毛皮を縫い合わせたソレは森の中でも十分な温もりを与えてくれた、何せ相手が相手だ、ドラゴンの細胞のせいか体温が異常に低い。


しかし周囲の気温に合わせて大きく変動するソレは俺の体温を得て花咲くように活性化した、激しい、獣だぜ、好き好き言われて抱かれまくった。


ガキが覚えると大変だぜ、へこへこ、横で寝転がっているそいつの頬を突く、器用に尾を丸めて眠っている、おかしなもんだぜ、こんな奴にさァ。


「ササ」


『どうなさいましたか』


「お前の体臭がアレなせいでトカゲに襲われた、ヘコヘコされたぞ」


『…………』


「お前の体臭がだな」


『も、申し訳ありません」


「お前の体臭がアレなせいでヘコヘコされたけど謝るんじゃねぇ」


『い、一応気遣ってはいるのですが』


「うん、お前はいい匂いだ」


『あ、あのう』


自分でもどうしてササに話し掛けているのかわからない、あれだけ燃え上がった相手が横ですぴすぴ言っているせいだ、お腹が空いた、起きたら酷使してやる。


餌を捕まえるのがお前の役割なんだからさ、えっちするのが役割では無いぜ、か、勘違いし無いで欲しいぜ、ふんっ、起き上がって伸びをする、全身がマジでキスマークだらけ。


「ササともまたしたいな」


『そ、それは……しかしここまで神様に……印を』


「生意気だろ、自分のモノって誇示しているようで」


『生意気ですね、自分のモノと誇示しているようで、立場を弁えない振る舞いだと思います』


「んふふ、ササが殺しても良いよ」


つい口が滑る、冗談だとしても少し……俺がそんな事を望んでいない事はササも知っている、この俺の横で眠る生き物が新たな可能性だって事も。


俺は俺と自分を区別できる一部を生み出せるのだ、こいつはその一号、大事に大事に育てたいのに同時に過去の一部を贔屓したい気持ちもある、どうしようもない。


俺は俺の為に大好きな存在が争うのが大好き。


火種を、あは。


やめて。


『……神様、もう一人の神様に汚染されているようです、故にその願いはお断りします』


「ささ?」


『ササの神様の命令であれば従いますよ』


何処かで舌打ちが聞こえた。

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