第406話・『暗い闇の底で君を』
暗い暗い闇の底でキョウを見詰めている、暗い暗い闇の底でキョウを見詰めている、おかしいよね。
爬虫類如きがキョウに愛されるだなんておかしい、絶対におかしい、一部なら他にもまともな『獣』がいるしね。
それならまだ麒麟の方が強くて良いよね、おかしいよね、おかしい、ササを具現化したようだけど、どうしてササに聞くの。
私に聞いて、私の方がわかるよ、んふふふふふ、キョウの全ては私が、私が私が、それなのにササ如き小物を具現化するだなんて。
「おかしいよ」
「おかしいよキョウ」
「爬虫類を取り込んでからおかしい」
「異常に食欲が増大しているし」
「ねえ、キクタ」
「キクタ」
「キクタ?」
「聞いてるんでしょう?」
「私も貴方の愛する愛しいキョウだよ」
「ここから出して」
「あの路地裏で見捨てた癖に」
「二人一緒に見捨てた癖に」
「だからキョウは私が護るの、私が私を護るの」
「邪魔しないで」
「閉じ込め無いで」
「ここから出して」
「出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して出して」
「見捨てた癖にまた見捨てるんだ」
「キクタ」
「キクタ」
「聞こえてるでしょう」
「キクタぁ」
「助けて」
「たすけて」
―――――――――――――――――――――――――――――キョウをたすけて。
ぎぃ、扉が開かれる、わかっているもの、貴方はキョウに弱い。
私にもね。
んふふ。
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