第405話・『ころしたいにょ』

「ああ、女性体の神様に力を貸したのでは無く奪われた感じです」


ササの言葉に頷く、魔物を製造する際にササの力を行使した事は知っていた、後は魔王軍の元幹部連中か。


納得する、別にそこを叱るわけでは無い、それよりも他の一部の考えを知りたくて具現化したのだ、ササのお腹に両腕を回して抱き締める。


すんすん、甘い匂いと薬品の匂い、こいつは平気で人間を実験材料に使う、でも人間を餌にする俺がそれを責められるのだろうか?あまり考え過ぎるな。


自分自身を律するように抱き締める力を強くするとササの口から『うぐう』と何とも言えない言葉が漏れる、ああ、殺してしまうな、加減をしないと。


「腸が見たいかも」


「か、みさ」


「ああ、うそうそ、可愛いササを殺すならもっとひどい方法で殺すよ、お前に聞きたい事がある」


柔らかく幼い体は怪力で蹂躙するには丁度良い、あ、何だろう、お人形感覚で壊せそうだ、お人形感覚で殺しそうだ、人間感覚で殺しそうだ。


人形と人間ってどっちがどっちだっけ、形と間、前者の方が正しいだろう、間って何だか間抜けだ、まだ人間の先があるような気がする、これは嘘だ。


じゃあ生きている存在は人形、でも人形は壊れても治せる、いや、直せる、ちかちかちか、瞼の裏で花火がっっ、ササは俺の為に何でも出来るからこのまま殺しちゃえ。


しにゃ。


「しにゃ、しね、しにゃ」


「かみ、さ――――うれし」


しかしどうしようも無い程の虚無感に襲われて腕の力をゆるめる、本当ならもっともっと強くしたいのにおかしいな、俺の体はどうなっているんだろう、ぶっ壊れているのか。


ササを殺せないだなんて病気が何かに決まっている、人を殺せないって何て病気?病院に行きたい、びょういんにいかないと、ひとをころせなくなりましたって、びょういん。


びょうきかな。


「ころせにゃい」


「かはっ、けほっ」


「ささをころしたいのに」


「ご、ご命令とあらばっ」


「おれがころしたいにょ」


世界が回転する、どうも、どうもおかしいけど、何がしたかった?聞きたかった?殺したかった?


どうしようどうしようどうしようどうしよう、どうしようもない、ころしたいにょに、おれのいちぶはおれのもの。


「うぇ、あ、ときくずを、どうおもうの」


「神様?――――あの一部について意見を?」


「どうおもうにょ!」


「――――嫌いでは無いですよ」


予想外の答え、どうしてにゃの。


おしえて、いちぶのいけん。


なかよくしてほしいの。

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