第404話・『クソ下僕ササちゃん』

聞いて見よう、うん、聞くのが早い、俺は一人夜中に抜け出して欠伸を噛み殺しながら『具現化』する。


切り裂いた左腕が『ソレ』になるのが先か俺の左腕が再生するのか先か暇を楽しとするか、いたいいたいいたいいたい、ファルシオンは俺の血に濡れて幸せそう。


いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい。


大好きなファルシオンに傷付けられた切断面、それを見る、ファルシオンは切れ味が最悪なので肉を潰したような切断面になっている、ああ、素敵、いたい、そこだけミンチ、いたい。


左腕が少女の形に形成される、膨張して、余分な面を削ぎ落として、人間になる、それを見詰めながら溜息を吐き出す、再生は終わっていない、スピードで負けた、悔しい。


「俺のササ」


「ぁ」


「おいで」


「神様」


「そうだよ、お前の神様だよ、奉仕しろ、今日もキョウに全部寄越せ」


「あぁ」


具現化された天才錬金術師かつ俺の下僕を見てほくそ笑む、何時もの通り俺に心酔している、そして俺の精神に『浸水』されてびちゃびちゃだ、水塗れ、液体塗れ。


俺の体液が良く似あっているよササ、丸みを帯びた大きな瞳は様々な『魔眼』を溶かして一つにしたもので黒目の部分は円状に虹色の色彩になっている、カラフルな色彩と異様な『興味心』を含んだ瞳は『他人』から見るとかなり不気味らしい。


研究に明け暮れていたせいか肌の色は白色、かつての研究で若さを保っているのでマシュマロのような肌だ……触る相手は俺しかいないのにな……小さな鼻と色素の薄い唇は人形のようで本人はあまり好きでは無いらしい。


髪の色は若芽色(わかめいろ)で植物の新芽を連想させる初々しくも鮮やかな色をしている、それをお団子にしてシニヨンヘアーに……研究に邪魔にならない程度のお洒落らしいぜ、研究は大好きだが女性である事を否定するつもりは無いとか。


服装は作業着を兼ねたショートオールに白衣、あちこちに血液が付着しているのはご愛敬、ショートオールなので膝小僧も出ていて動きやすそうだ、大きめのスリッパにブカブカの白衣を着ている姿はまんま『子供』だ。


10歳ぐらいの年齢に固定化しているらしい、そのぐらいの年齢が頭が冴えて柔軟に物事を吸収出来るからなァ、んふふふふふ、可愛い一部。


俺のササ。


「神様、どうなさいましたか?」


「いきなり土下座は止めろっ」


「?額を擦り付けろと?」


「……ヤバい、こいつ天然だったわ、忘れてたぜ」


「神様、今日もお美しいです」


「お前が具現化するのが俺の腕の再生よりはやくて不機嫌だぜ」


「…………少しお待ちを」


「何だぜ?」


「死んでお詫びを」


「待つんだぜ」


「?ああ!!死ぬ過程を楽しみたいとっ!」


「人の話を聞くんだぜ」


「両目では無く耳を抉って下さるのですか?」


ヤバい、相変わらず忠誠心がぶっ壊れていて話にならねぇぜ。


お前に聞きたい事があるのに。

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