閑話206・『甘くて柔らかくてそれは自分2』
グロリアなら許せるわけでは無い、しかしその力を認めてはいるしキョウを守護する為には強力な手札が必要だ。
そう、許しているわけでは無い、何時か消せば良いと何処かで思っている、肉体を手に入れたら容易い事だ、容易い事っ。
しかしあの爬虫類は違う、今までに無い、一部にしているのにその自覚が無く、キョウの肉体の一つである事もわかってはいない。
つまり他者としてもキョウと接する事が可能になっている、それは私が望みものに限りなく近い、キョウでありながらキョウを他者として愛する事が出来る。
それでいて肉体を持っている、それでいてキョウの為にある、あいつはキョウに洗脳されて教育されて指導されて『専用』になった、今までにない一部っ、グロリアのいる場所まで二人で旅をしている。
キョウと現実世界で二人旅、それは私のそれは私のそれは私のそれは私のそれは私のそれは私のそれは私のそれは私のそれは私のそれは私のそれは私のそれは私のそれは私のそれは私のそれは私のそれは私のそれは私のそれは私の。
爬虫類のじゃ無いよ?だからこの湖畔の街にキョウを誘い込む、グロリアがいなくて気を張っているのか眠りが深いので簡単だ、目の前で怯えたように周囲を見回すキョウに近付く、あああああああ、これ、私の、これ、私の、
これは私の。
私の。
「教育したんだ」
「まあな」
「自分の事で精一杯の癖にどうしたのォ」
「近付くな」
責める、攻める、両手を広げて抱き締めてあげようとしたら後ずさりしつつ警告する、どうしてそんなに怯えているのかな?何時もはキョウの方から抱き付いて来るのにおかしいよ。
でもキョウがおかしかろうがおかしくなかろうが関係無いもん、キョウはこの腕の中に抱かれるべきだし、そうするべきだと決まっている、そうだ、ずっと昔から決まっている、だからおいでよ。
おいで。
来い。
来いよ。
「柔らかくて良い匂いがするよ、来なさい」
「知ってるよ、俺だもん……ち、近付くとファルシオンでぶった切るぜ」
「そぉ?どうして今日は来てくれないのォ?」
「いや、今日は駄目だぜ、お前……俺をこの世界から出さないつもりだろ」
「そぉだよぉ」
「やっぱりっ、あ、愛してくれるのは嬉しいけど重すぎる愛は男を駄目にするぜ」
「女の子じゃん、キョウ」
「え、あ」
「女の子だから危ないところに行かないでここにいなよォ」
「おんなのこ、じゃないし」
「こんなに可愛いキョウが男の子なわけ無いじゃん、んふふ」
「おんなのこ」
「そうそう、女の子、しかもとびきり可愛い女の子」
もう少しで手が届く、もう少しで監禁出来る。
もう少しで。
「か、帰る、帰るっ」
キョウが叫ぶと同時に世界が歪む、ここはキョウの世界、キョウが帰りたいと願えばそれが叶う。
叶わせるんじゃないよ。
「ちっ」
もう少しやり方を変えよう。
もっと強制的なものに。
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