第390話・『餌場まで待てと言われても待てないのが主人公』

もう少しでグロリアのいる街に到着する、そうしたら出しっぱなしのこいつをしまわないとなァ。


二人で旅をしていて一つだけ良い発見があった、それは餌に困らない事だ、餌を自動的に持って来てくれる、ありがとう、サンキュー。


しかも『ひとがた』を良く持って来る、人間の形をした生き物は大体美味しい、魔物だろうが異人種だろうがその法則からは逃れられない。


それもちゃんと学習したのだから偉いなァ、グロリアとの旅は最高だがこいつとの旅も中々だ、暇が出来たら一部の皆を外に出して旅したい。


そしてみんなに命令したい、みんなに餌を捕まえて来るように命令したい、したいしたいしたいしたい死体肢体死体肢体死体肢体死体肢体死体肢体慕い。


したいしたいしたいしたい死体肢体死体肢体死体肢体死体肢体死体肢体慕いしたいしたいしたいしたい死体肢体死体肢体死体肢体死体肢体死体肢体慕い。


したいしたいしたいしたい死体肢体死体肢体死体肢体死体肢体死体肢体慕いしたいしたいしたいしたい死体肢体死体肢体死体肢体死体肢体死体肢体慕い。


おててを繋いで楽しいな。


「キョウ、餌はここ等辺にはいないのだ、我慢するのだ」


「んあ、別に我慢してねぇぜ」


「嘘、涎が沢山出てるのだ、おいで、拭いて上げるのだ」


「んんんー、ホントだ、こんなに出てる」


「ふきふきなのだ」


「?お前が餌を持って来ないからだ、死ねよ」


「はいはいなのだ、餌場が見付かれば耳尖りをあげるから我慢するのだ、ここ等辺にはいないのだ」


「え、あ、そうか、そうか、そう言ってたよな、死ねって言ってごめん」


「別にいいよ」


許してくれる、優しい、優しいロリ、しゅきぃ、駄目だ………グロリアがいないせいでこいつに対する依存が激しい、グロリアがいないとこうも俺は不安になる。


許してくれるの優しいね……俺が転ばないように手を繋いで誘導してくれるのも優しい、でもそれは何時だってグロリアがしてくれた事でお前がしてくれる事では無い。


「我慢したくないっ」


ついつい本音が出てしまう、土岐国栖はそれに対しては何も言わずに薄く微笑むだけ、俺の要望を聞き流す、我慢したくない、我慢するのは嫌いだ、エルフを沢山食べるのは好きだ。


そう、リンゴのようなエルフの頭部を所望しているのにどうしてくれないの?チカチカチカ、眩しすぎる光が弾けて足取りが重くなる、倒れそうになると土岐国栖が支えてくれる。


えさ、えさ。


「仕方が無いのだ、餌場まで抱っこするしか―――」


「ァァー」


「可愛い可愛い、ご飯の時間まで我慢するのだー」


「無理ぃぃいぃいいいいい」


「キョウは強い子だから大丈夫なのだ」


むり、むりむり、お前が最近餌を沢山くれるから、体がおかしい、頭もおかしい、ん?全部おかしいって事は正常って事だよな、正常の中で少しおかしければ『おかしい』けど全てが異常ならばそれは『正常』だ。


「うぅううううう」


「困った困った、ふふ」


強請る俺を小馬鹿にするように笑うのが気に食わなかった。

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