第370話・『初心初心どらごんしすたー』

餌を見付けたけど思いの外に面白い存在だったので『友達』にしようか『餌』にしようか悩む。


グロリアにドラゴンの場所は聞いたし、先に向かっているし、俺の事を一人前扱いしてくれたのか食事シーンがグロイから来るのやめたのか。


どっちなんだろうと思いつつどうでもいいやとも思う、暗闇でわからなかったが近付いて見ればかなりの美少女だ、美幼女だと何だかしっくり来ない。


「じ、自分で歩けるのだ」


「逃げられたら嫌だからな、ひんやりしてる、どんな生き物だお前」


「こんな生き物なのだ」


観察する、お姫様抱っこをするのは逃がさない為、それだけのはずなのだが何だか気になる、このひんやりした皮膚の感触は初めてで何だか感動する。


独特の濃い色合いの緑の髪、それに手で触れる、髪は虫襖(むしあお)と呼ばれる独特のソレ、玉虫の翅(はね)のようにやや暗い青を含んだ緑色の髪、触れてもこの色が変化するわけでもねぇぜ。


人間では無い、人外の色合い、だけど綺麗だ、こんな暗闇の世界に置いてるのは勿体ないと素直に思う、ドラゴンの場所まではこいつが案内してくれる、ふむ、切り裂かれたわき腹も修復が終わった。


ご機嫌♪変な生き物も捕まえたし♪


子供かっ。


「むむっ、もう治ったぜ」


「直ったなのだ、人に化け物とか言っといて何なのだ、この化け物」


「わはは、化け物同士で番いになるか、人間よりも赤ちゃん出来る確率は高いぜ」


「お、おバカなのだ」


別名では夏虫色(なつむしいろ)とも呼ばれて親しまれている色をした髪の感触はフワフワでタンポポの種を彷彿とさせる、玉虫の翅(はね)は光の受け方で紫色や緑といった様々な光を放つ。


古代から織物で玉虫色を表現するのは難しいと言われて高貴なモノとしてずっと扱われて来た、縦糸を緑にして横糸を赤を若干含んだ紫で構成したものが最上として扱われる、こいつは最上の最上だな、間違いねぇわ。


「しかしあんな変な組織に生み出された何て可哀想だな」


「いや、大陸を統べる宗教団体に生み出されたあんたに言われたくねぇのだ、ねぇ、シスター」


「そんな言い方無いだろ、可哀想になるぜ」


「誰がなのだ?」


「俺が」


「……………変な奴なのだ」


「お互いさまだ、命じられるまま何も考えないでここにいるなら……俺と来いよ」


「え」


「外は広いし明るいぜ、可愛い女の子もいる、あっ、洞窟の中にもお前みたいな可愛い子いるからそこは同じか」


「お、おバカなのだ」


「そうか?お前可愛いぞ」


「お前こそ可愛いのだっ」


「お、おバカだぜ」


何なんだこいつ、で、出会ってすぐに可愛いとか。


あ、俺も同じか。

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