第365話・『噛み千切りんふふ』
生き物の気配を感じる、竜の気配は今でも俺達の上空で見守っている吸血竜のソレを覚えているので認識しやすい。
問題はそこでは無い、竜の気配に隠れるようにして気配を『意識的』に消そうとしている輩がいる、その違和感に首を傾げる。
グロリアの指に指を絡ませて笑う、上手に可愛らしく笑うとグロリアは頬をポリポリと指で掻きながら困ったような顔をする、どうしたどうした?
「貴方は……自分が構って欲しい時にだけ近付いて来て……本当に猫ですね」
「にゃんにゃん」
「あざといので飴玉をまたプレゼント」
「コロコロ、うめぇ、あざとくて可愛くて良かったぜ、この容姿に生まれて良かった」
「………シスターの容姿を飴玉を得る為の糧にしますか、困った人」
「コロにゃん、コロにゃん」
奥に進めば進む程に生き物の気配が強くなる、竜の気配は大きくて威圧的だ、そんな大好きな竜の気配に囲まれながら意識が高揚していくのがわかる、簡単にエルフライダーのスイッチが入ってしまう。
戸惑いも無くソレを受け入れる、自分の夢へと続く大切なものなのにエルフライダーの本能が容易くそれを邪魔する、冴え渡った神経が隠れるように身を潜めているその気配を完全に捉える、んふふふふ。
竜と人間が混ざったかのような気配、天井から水滴が鼻に落ちて来てひゃんと震える、くすくす、グロリアが上品な所作で笑う、お前の横にいるのは腹減りエルフライダーなのにな、優しいグロリア、しゅき。
しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき。
しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき。
しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき。
ガリッ、飴玉を噛み砕く。
失敗、頬の内側の肉を噛む。
血の飴玉。
「うへへぇ」
「何か素敵なモノでも見付けましたか?」
グロリアの声音は何処までも優しい、俺の異様な行動を咎める事も無く優しく優しく語り掛けて来る、一切の隙の無い美貌、そんなグロリアの顔を見詰めながら説明する、竜の近くにとても変な気配があるのでとてもとても気になっている。
とてもとてもとてもお腹が空いている俺は飴玉でも自分の頬の内側の肉でも満足出来ない、血の味と甘い飴の味、それを味わいながらまだ見ぬ獲物に興奮する、ふんすふんす、鼻息を荒くして説明する、ちゃんと言葉に出来ているのかわからない。
でもグロリアは俺の飼い主だからちゃんと意図を読み取ってくれる。
「うへへぇ」
しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき。
しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき。
しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき、しゅき。
ガリッ、頬の内側の肉を噛み千切る。
正解、血の味が口一杯に広がって美味しい。
血の恍惚。
「うへへぇ」
「成程、状況はわかりました」
ぼたたたた、口から溢れる血が未来を告げていた。
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