閑話190・『ぴゃーぴゃー叫ぶ、青空に』
体を重ねてもその意味を知らなければ駄目、ぴゃーぴゃー、何だか赤ちゃんが欲しいとか言い出したキョウに性教育を……産まれたてのヒナか、ぴゃーぴゃー。
こいつって知識もあるし度胸もあるしエロいのにこうやって向かい合って赤ちゃんの作り方を教えてるとぴゃーぴゃー騒ぐ、実に五月蠅い、耳に手を当てて甲高い声を回避。
「あ、赤ちゃんのハードルっ、だよぉ」
「わざわざ切って言う事かよ、ええい、煩わしい」
「キョウはえっちだ、凄く不快っ」
「……お前だって俺の体を使ってエルフとやってたじゃん、何なんだよ、もう」
「それは赤ちゃん出来無い奴だもんっ」
涼しげな青い湖面、その周りを囲むような小さな建物が幾つも並んでいる、風光明媚な街、自然と人工が仲良く調和している、そんな風に半身とも仲良くしたいのだが顔を真っ赤にしてぎゃーぎゃー。
知識では知ってるのにおかしな奴、俺の口から説明されるのが嫌なのだろうか、そりゃまあ、身内より身内だしなぁ、両手を振りながら威嚇するキョウにどうしたものかと溜息を吐き出す、困った困った。
街の周囲を囲むソレは岩塩鉱山だ、あの山々が岩塩鉱山だと初見で理解出来た、岩塩坑、『本来』であれば街の多くの人々は坑内作業員だ、あそこで汗水を流して岩塩を発掘しているはずなのだ、俺の『過去』の記憶。
海の無い地域では白い金と言われる程に塩は重宝される、あそこの山々の全てが岩塩鉱山なのだ、街の発展具合も納得出来る、しかしそれは何時かの現実の世界の事でここには結果である発展した街しか存在しない。
寂しい世界でキョウは叫ぶ。
「ハードル高いけど………やろう!」
「や、やんねーぜ、旅の途中だし、もう少し落ち着いてからだ」
「……早くしないとグロリアに先を越されちゃうでしょ!」
「越されてもいいじゃん」
「キョウの初めては私のだもん、俺のだぜ」
「境目が曖昧になるぐらいに興奮するんじゃねぇ」
一瞬だけ私が俺に切り替わるのを見て頭を抱える、キョウの頭を撫でてやると頬を膨らませて抗議して来る、うーむ、まだ子供と言っても良い年齢なのに妙な色気がある、胸の幅の肩から肩までの外側で着る独特の修道服は一切の穢れの無い純白、グロリアと同じ修道服。
ベールの下から見える金糸と銀糸に塗れた美しい髪、太陽の光を鮮やかに反射する二重色、黄金と白銀が夜空の星のように煌めいている、見る者を魅了するような美しい髪も俺には当然の事として受け入れられる、自分自身の容姿を観察して急に胸が高まる、どきどき。
瞳の色は右は黒色だがその奥に黄金の螺旋が幾重にも描かれている、黄金と漆黒、左だけが青と緑の半々に溶け合ったトルマリンを思わせる色彩をしている、グロリアと同じ瞳だと思うと急に愛しさが込み上げる、わかりやすい自分自身に呆れる。
こいつと、あかちゃん。
「んー、顔が赤いよー、どしたー」
「な、何でもねぇぜ、何でも無いから何でも無いんだぜ」
「………?変なキョウ」
いや、自分自身と子作りしたいと口にするお前より変では無いぜ?
改めて見て、可愛過ぎて、ひいた、俺って……どうしようもねぇ。
「んふふ、もっと教えてェ」
「実践は無しだぜ!?」
実践した。
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